AIとシミュレーションで希少事象が見つけやすく、約10倍の効率改善製造ITニュース

NECと産業技術総合研究所は、AIとシミュレーションを組み合わせた「希少事象発見技術」を強化した。専門家による多品種混流生産プロセス評価にかかる期間を、1週間から1日程度に短縮できるという。

» 2019年06月26日 09時00分 公開
[MONOist]

 NECと産業技術総合研究所(産総研)は2019年5月30日、AI(人工知能)とシミュレーションを組み合わせた「希少事象発見技術」を強化し、生産プロセスや生産計画を事前評価する実証実験を実施したと発表した。専門家による多品種混流生産プロセス評価にかかる期間を1週間から1日程度に短縮できると見込まれ、新規生産プロセスの早期構築や既存生産プロセスでの迅速な生産計画変更につながるという。

photo 希少事象発見技術による効果のイメージ(クリックで拡大) 出典:NEC

 実証実験は、2018年9月〜2019年3月に実施。神戸製鋼が開発した生産プロセスシミュレータと、NECおよび産総研が共同開発した希少事象発見技術を生産プロセスの評価に適用した。

 実工場を模した多品種混流生産プロセスを対象として、品種の組み合わせによる生産設備の処理速度の変動を想定し、一時保管場所の容量を中間在庫が超過する要改善パターンを発見しようと試みた。処理速度が変動するパターンをAIが自動生成してシミュレーションを実行し、その結果を学習しながら、容量が超過しそうな新たな変動パターンを生成して探索を繰り返した。

 AIによって探索作業を効率化した結果、専門家でも想定しにくい25の要改善パターンを発見。従来の探索手法であるグリッドサーチと比較して想定漏れが低減し、効率を約10倍に改善できた。

 希少事象発見技術は、まれに発生する不具合を効率的に発見する技術。両者は今回、複数の変動要因がある変動パターンの発生確率に基づいて探索頻度を算出できるように強化した。シミュレーションのたびにAIが学習を繰り返し、発見済みのパターンに類似していて、変動の発生確率が高いパターン群に探索を徐々に絞り込むようにした。これにより、発見したいパターンの中でも特に発生しやすいパターンを集中的に探索できるようになり、探索時間を短縮できたと説明している。

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