EDAコンソーシアムは「Interop Tokyo 2019」に出展。同コンソーシアムの参加企業が、EDA(Event Driven Architecture:イベント駆動型アーキテクチャ)の取り組み事例を多数披露した。
EDAコンソーシアムは、「Interop Tokyo 2019」(2019年6月12〜14日、幕張メッセ)に出展。同コンソーシアムの参加企業が、EDA(Event Driven Architecture:イベント駆動型アーキテクチャ)の取り組み事例を多数披露した。
EDAは、IoT(モノのインターネット)などによって発生し続けるデータの中から、アクション側にとって重要なイベントだけを見つけ出して伝えられることを特徴とするアーキテクチャだ。データベースにいったんデータをためてからトリガーとなるイベントを検索するのではなく、ストリーミングデータからイベントを抽出しそのままアクションにつなげられるのでリアルタイム性に優れている。
EDAを可能にするバックグラウンドには、複数箇所から非同期に発生するイベントを処理できるイベントメッシュの開発がある。従来は、イベントブローカーを介してアクションにつなげていたが、この方式では複数の処理が重なる場合にイベントブローカーがボトルネックになってしまうことが課題だった。イベントメッシュは、イベントブローカーを用いずメッシュエージェントによって複合処理に対応する技術で、現在は米国のVANTIQが提案している。このため、2018年に国内で発足したEDAコンソーシアムは、VANTIQの日本法人とパートナー企業によって構成されている。ただし、「Society5.0」および「データ駆動型社会」の効率的な実現を目指しており、会長には東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授の江崎浩氏が就任している。
ここまで説明した通り、EDAのコンセプトはリアルタイム性に優れることもあり、リアルタイム性が求められるIoTサービスを実現するのに適している。また、VANTIQのEDAツールは、容易にアプリケーションを開発できることや、動的なEDAだけでなく、静的なデータベースとの連携も行いやすいことが特徴になっている。展示では、これらの特徴を生かした事例を、EDAコンソーシアムの参加企業が披露した。
ミツイワは、自社内でテストを重ねている「エンジニア自動手配システム」を参考展示した。ICT機器をサポートするエンジニアの手配にかかっていた時間を、最大30分から最短3分に短縮できたという。この成果を基に、まずはミツイワと同じ富士通のパートナー企業向けに提案していく考えだ。
同社は全国28拠点、450人のエンジニアが顧客のICT機器のサポートを行っている。従来は、各拠点のオペレーターが知見やノウハウを基にエンジニアを手配していたが、この作業に全国で1カ月当たり延べ900時間を要していた。新たに開発したエンジニア自動手配システムでは、顧客からのインシデント発生を検知しそのインシデント情報を送信するRPA(Robotic Process Automation)、各エンジニアの現在位置を示すGPS情報、今後の予定が記入された予定表などの動的なデータと、各エンジニアのスキル情報という静的なデータをVANTIQで連携させ、エンジニアの手配を自動化している。
また、システム開発を容易に進められたことも大きな成果の1つになる。「入社1〜2年の純粋なプログラマーではない社員を中心に開発を進めた。社内でいろいろと試す中、さまざまに要件が変わるのに対して、アジャイルに開発を進められたことを考えると、VANTIQはIoTシステムの開発に最適ではないかと思う。特に、ボトルネックになりやすいデータベースの定義などを気にせずに開発できるのは大きなメリットだ」(ミツイワの説明員)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.