富士フイルムと京都大学は、AI技術を用いて、間質性肺炎の病変を高精度に自動で分類・定量化する技術を開発した。2020年度中に、システム上で本技術を使用できる画像診断支援機能の実用化を目指す。
富士フイルムは2019年5月7日、京都大学大学院医学研究科と共同で、AI(人工知能)技術を用いて間質性肺炎の病変を高精度に自動で分類・定量化する技術を開発したと発表した。同社は2020年度中に、自社の医療機関向けシステム上で、本技術を使用できる画像診断支援機能の実用化を目指す。
本技術は、CT画像から肺野内の気管支、血管、正常肺、網状影、すりガラス影、蜂巣肺など7種類の肺の病変性状をAIを活用したソフトウェアが識別し、自動で分類・測定して間質性肺炎の病変を定量化する。さらに、肺野内における病変の分布と進行状態を確認するため、肺野を12の領域に分割。領域ごとに、病変の容積、割合を表示する。
同社が開発した間質性肺炎の病変を分類・定量化する技術を京都大学が保有する症例データに適用し、識別性能の評価と改善のフィードバックを繰り返し実施した。そこから得られる画像パターンのバリエーションを分析し、さらに改良することで、本技術の開発に至った。
本技術は、間質性肺炎の画像診断補助、肺の12の領域ごとの病変評価による詳細な病状の把握、定量的かつ客観的な治療効果の判定、新規薬剤の治験における薬効評価指標への応用、間質性肺炎の病態解明や予後予測など臨床研究への応用などが期待されるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.