Edgecrossコンソーシアムは、2018年は単独ブースでの出展だったが2019年は、ジャパンパビリオン内での出展となった。Edgecrossコンソーシアムは、現場情報(エッジデータ)の有効活用を目指し、エッジコンピューティングの共通基盤となるソフトウェア「Edgecross」を展開。2018年5月から基本ソフトウェアとデータ連携を実現するデータコレクタ、アプリの販売を開始している。欧州など日本以外の地域での展開はまだ決まっていないが「できる限り早く展開できるようにする」(Edgecrossコンソーシアム)方針であり、ハノーバーメッセ2019での出展はこの告知や海外団体との連携の狙いなどもある。
Edgecrossコンソーシアム マーケティングマネージャーの森浩嗣氏は「展示の他、海外の各種団体などとの情報交換や対談も行っている。早期にグローバル展開できるように準備を進めていく」と述べている。
京都機械工具は、ハノーバーメッセに初出展しIoT工具によるヒト作業のデータ化の価値を訴求した。同社は、工具や測定具にセンシング技術を取り込み、その測定データをデバイスに送信できるシステム「トレサスシリーズ」を展開。その第1弾製品として工具に装着するだけで作業記録の管理と分析を実現できる「TORQULE」を販売しており、これをグローバルに展開する狙いである。
同社の工具は日本国内では高いブランド力を誇るが、グローバルでは「ほとんど認知されていない」(同社)状況で、IoT工具を切り口に海外での認知度を高めることも目指しているという。
京都機械工具 次世代開発本部 事業開発室 室長の重田和麻氏は「事前準備も入念に行い多くの商談なども進んだ。インダストリー4.0などが進むドイツでもヒト作業は残ると考えられておりこのデータ化をどうするかという点については高い関心があると感じた」とハノーバーメッセ2019での手応えについて述べている。
情報通信研究機構(NICT)は初出展し、スマートファクトリー向けで取り組んできた研究成果を紹介した。製造現場に混在する多様な無線通信を安定化する無線通信規格「Smart Resource Flow 無線プラットフォーム」や、3次元シミュレーターなどを訴求した。また、工場内の無線通信におけるセキュリティガイドラインも示し、欧州やドイツの団体へのガイドラインの提供などを進めた。
NICT 欧州連携センター長 扇慎太郎氏は「工場内の通信の無線化や日本だけでなく海外でも高い関心があるが、これらを具体的に進めていくためにさまざまな課題が残されている。シミュレーターやガイドラインなどはこれらの課題解決につながるもので、欧州でも高い関心が得られた。ガイドラインを紹介する冊子なども各団体に置いてもらえた」と手応えについて語っている。
日本電機工業会(JEMA)は、同会内で進めている2030年の製造業の姿を提言する「製造業2030」を訴求。「製造業2030」で打ち出されたコンセプト「FBM(Flexible Business and Manufacturing)」や、「制御盤2030」を紹介した※)。
※)関連記事:IoTが変革する製造業の2030年、JEMAが「製造業2030」最新版を提言
特に各企業がバラバラに取り組んでおり全体最適化が進まない制御盤および制御盤内の機器について、課題解決につながる制御盤の将来像を描いた「制御盤2030」については、実際の制御盤を示しながら説明し、高い反応を得たとしている。
JEMA 技術部長 兼 標準化センター センター長の田中一彦氏は「各種コンセプトの発信と共に、欧州やドイツの団体との連携や情報交換なども進めていく」と取り組みについて語っていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.