本音は人手確保? 買収した企業トップが真っ先に言及する「リソース不足」オートモーティブメルマガ 編集後記

その人の性格にもよりますが、対外的なプレゼンの場では最初に言うことが一番重要なのだと思います。

» 2019年04月24日 12時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

この記事は、2019年4月24日発行の「オートモーティブ メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。


本音は人手確保? 買収した企業トップが真っ先に言及する「リソース不足」

 「あなたには他にもっといい場所があるよ、その場所ならあなたがもっと生かせるよ」。こういう言葉は、所属している集団から自分の存在を否定されているようで個人的にはネガティブに受け止めます。しかし、自動車業界で相次ぐ買収ニュースを見ていると、売った側の企業は大抵、上記のような言葉をプレスリリースや会見で述べています。

 最近の自動車業界での企業買収でいえば、日立グループだったクラリオン、日産自動車が筆頭株主だったカルソニックカンセイ、Fiat Chrysler Automobiles(FCA、フィアットクライスラー)グループだったMagneti Marelli(マニエッティマレリ)、直近ではオムロンの完全子会社だったオムロンオートモーティブエレクトロニクスなどが話題となりました。

 こうした買収の是非に関する考察はさておき、社会人1年生の頃から知っていたクラリオンにいろいろなことが起こるのは、しんみりとしてしまいます。社会人1年生の頃は、自動車部品を作っている会社にどんな企業があるか、一から学んでいました。その立場からすると、日立製作所や日立オートモティブシステムズと連携できるクラリオンは、とてもかっこよく見えていたのです。

 なぜなら、総合電機メーカーの幅広い技術や製品を応用して、コネクテッドカーや自動運転、電動化に取り組めるのです。実際に、日立オートモティブシステムズの人も、クラリオンの人も、新人記者だった筆者にそのように話してくれました。日本を代表する企業が団結して自動車の進化に取り組むというのは、世間知らずだった新人記者にとって分かりやすくて魅力的な筋書きでした。

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