OPC UAの「フィールドレベルコミュニケーション(FLC)」は2018年11月の「SPS IPC Drives 2018」で発表されたものだ。従来のOPC UAは情報系ネットワークと、工場の中での機器間連携などフィールドレベルの「間を結ぶ」通信だとされてきたが、FLCによりフィールドレベルの通信領域に踏み込むことになる。
具体的に推進するためにOPC Foundationではワーキンググループを設置。43社から160社が参加する。2019年1月にはキックオフを行っている。また今回のハノーバーメッセでは、FLCを担当するディレクターとして、ピーター・ルッツ(Peter Lutz)氏が就任したことを発表している。
工場などのフィールドレベルではさまざまな団体の規格が競合関係で存在する状況にあり、OPC UAのFLCがさらにこれらと競合する形になると懸念する声もある。これに対し、OPC Foundation代表のステファン・ホッペ(Stefan Hoppe)氏は「全く心配ない。2018年11月にFLCを発表した際には、まさにフィールドレベルの通信規格を担う各種企業の代表者に出席してもらい握手で写真を撮影した。FLCはそれぞれの規格と競合するものではなく、これらの規格間を結ぶ役割を担う」と述べている。
背景としてあるのがTSN(Time Sensitive Networking)の採用が進んでいる点がある。TSNはイーサネットをベースにしながら時間の同期性を保証しリアルタイム性を確保できるようにしたネットワーク規格で、物理層などはそのままに、時刻同期や優先的に通すデータを制御する機能などを加えることができる特徴などを持つ。
OPC UAではこのTSNに対応していくことを発表している他、各種フィールドネットワークでも対応を進めている状況だ。TSN対応が進めば、同じネットワーク配線や機器上を複数のフィールドネットワーク規格の通信が流せるようになる他、タイムスタンプなどの同期などにより、フィールドネットワーク規格を越えて、情報連携などを行えるようになる。このTSNを前提とし、各種フィールドネットワーク間を容易に連携できるようにする役割を担うものとしてFLCが位置付けられているとする。
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