Cortex-A76AEとCortex-A65AEの次世代品となる「Hercules-AE」も開発中で、シングルコアの処理性能が15%向上する計画だ。また、これらの高いアプリケーション処理能力を持つ「Cortex-Aシリーズ」だけでなく、より高いリアルタイム処理性能を備える「Cortex-Rシリーズ」の展開や次世代品の開発にも注力していくという。「NXP Semiconductorsが車載マイコンのプロセッサコアを、従来のPowerPCベースから『Cortex-R52』に置き換えた。これによって、浸透しきれていなかったパワートレイン関連でもArmの採用が進むだろう。そしてArmとしては、自動車の機能安全を実現していく上で、Cortex-Rシリーズが最も大きな役割を果たすと考えている。そのためにも次世代Cortex-Rの開発もしっかり進めていく」(新井氏)としている。
また、レベル5の自動運転車では開発コストの50〜60%がソフトウェアになるとし、Armとしても効率の良いソフトウェア開発を実現するためにエコシステムの充実に注力していることを紹介。ADASに必要なアリゴリズムのベンダーや、自動運転で重要な役割を果たす地図ベンダーなどをパートナーに加える一方で、オープンソース関連の取り組みも強化している。
そして自動運転車に必須になるAI(人工知能)については、プロセッサコアという製品カットでの取り組み以上に、「Project Trillium」として展開する機械学習(ML:Machine Learning)コンピューティングのプラットフォーム提供に注力しているとした。新井氏は「Armのプロセッサコアで利用できる推論エンジンである『Arm NN』のSDKはLinaroに寄贈され、既にオープンソースになっている。これを活用できるだけでなく、アクセラレーターとなるGPUの『Mali』やMLプロセッサ『Arm NPU』もある」と述べている。
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