OutSystemsジャパンは2019年3月8日、東京都内で記者会見を開き、同社が提供するローコード開発プラットフォーム「OutSystems」の概要と日本市場における事業戦略を説明した。
OutSystemsジャパンは2019年3月8日、東京都内で記者会見を開き、同社が提供するローコード開発プラットフォーム「OutSystems」の概要と日本市場における事業戦略を説明した。
ローコード開発とは、モバイルアプリやWebアプリケーションといったPaaS(Platform as a Service)上で動作するソフトウェアの構築と運用を最小限のコーディング記述で行うことができる手法、ツールを指す。ソフトウェアエンジニアやプログラマーといった専門人材でなくとも、これらアプリケーションの開発を簡易かつ迅速に行うことができる。
プラットフォームと同じ社名を掲げているOutSystemsは2001年にポルトガルで生まれたITベンチャーで、現在は米国アトランタに本社を構える。アジャイル開発やアプリケーションのカスタム開発のニーズが高まる市場環境で同社は急成長を果たし、企業価値は10億ドルを超えユニコーン企業の仲間入りを果たした。
OutSystemsジャパンで社長を務めるアーノルド・コンセンコ氏は、現在のIT業界について「最もマニュアル作業が多い業界だ。ソフトウェアは手作業で造られている」との考えを述べ、コーディングを自動化できればソフトウェア開発コストが現状の10分の1にまで削減できると語る。そのうえで、ローコード開発プラットフォームを「ソフトウェア開発の自動化を提供するもの」(コンセンコ氏)と強調した。
また、数あるローコード開発プラットフォームと比較して、OutSystemsは「設計から運用までソフトウェアの全ライフサイクルをカバーする」(コンセンコ氏)ことが特徴だ。「競合は開発と運用など一部工程に対応した機能のみを持つプラットフォームが多い」(同氏)とし、OutSystemsでは全工程に対応するビジュアル環境でドラッグ&ドロップの操作を実現したとする。また、追加設定を行うことなくSAPなどの既存システムやSQL Serverなどのデータベースに接続できる。
1クリックでのデプロイメントや依存関係の自動的なリファクタリングなど開発を高速化させる各種機能も備えており、「従来のコーディングと比較して生産性を3〜4倍に向上させる」(コンセンコ氏)と自信を見せる。OutSystemsが実際に生成するコードはバックエンドがC#、フロントエンドがJavaScript、HTML、CSS。ユーザー側でコードにさらなるカスタマイズを施すことも可能だが、98%のユーザーがコードへ手を加えることなく利用しているという。
最新バージョンのOutSystems 11では、マイクロサービス構築への対応、各種コンテナへのデプロイ、レスポンシブデザインに対応するUIテンプレート、大規模開発向けの管理機能などを強化した。
日本市場では2017〜2018年の2年連続で経常収益を前年比2倍超に成長させ、2018年度には顧客数が90社に到達した。顧客は大企業が多く、特に「自動車などの製造業に顧客が多い」(コンセンコ氏)。製造業ならではのユースケースとして「CAEによる解析データを部署内で回覧できるWebアプリケーションの開発で利用された」(同社 営業第一本部 本部長 三重野智博氏)こともあるという。2019年度には経常収益の前年比80%成長、顧客数を150社以上にまで拡大する目標を掲げている。
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