国土交通省は2019年3月8日、道路運送車両法の一部を改正する法律案が閣議決定されたと発表した。高速道路でのレベル3の自動運転や、限定された地域で走行する無人運転車は2020年の実用化に向けて技術開発が進められているが、現行の法律は自動運転車を想定したものになっていなかった。今回の改正により、自動運転車の設計、製造段階から使用まで安全性を一体的に確保するための制度を整備する。
国土交通省は2019年3月8日、道路運送車両法の一部を改正する法律案が閣議決定されたと発表した。高速道路でのレベル3の自動運転や、限定された地域で走行する無人運転車は2020年の実用化に向けて技術開発が進められているが、現行の法律は自動運転車を想定したものになっていなかった。今回の改正により、自動運転車の設計、製造段階から使用まで安全性を一体的に確保するための制度を整備する。
法案では、レベル3〜4の自動運転システムを保安基準の対象に追加する。これにより、レベル3以上の自動運転車は保安基準に適合しなければ量産、販売することができない。点検や整備、車検の項目にも自動運転システムが加わることになる。また、レベル3以上の自動運転システムを使用できる場所や天候、速度域などの走行環境条件ついては国土交通大臣が付すこととなる。走行環境条件は、開発する自動運転システムの目標性能として自動車メーカー各社に一律で課すものではない。
自動運転システムは、ソフトウェアを有線もしくは無線でアップデートして性能を向上したり、不具合を修正したりすることが必要になる。この点に関して、ソフトウェア更新後の車両が保安基準に適合するかどうか、自動車メーカーがアップデートを実施するたびに国土交通省が確認して許可を出す制度を設ける。また、この許可制度には、更新ソフトウェアを配信する企業がセキュリティを担保できているかどうか、ソフトウェア更新の影響を検証する体制があるかを確認する審査も含まれる。
自動運転システムのソフトウェア更新に関する許可制度の技術的な審査は、自動車技術総合機構が実施する。国土交通省は許可の条件や期限を定め、必要に応じて立ち入り検査を行う。この許可制度の審査で行われる試験については今後詳細が決まるが、ソフトウェアのソースコードの内容などを精査するものではなく、ソフトウェア更新後にクルマとしての能力が保安基準に適合するか確認することが目的になる。そのため、従来の検査の延長線上にある審査となりそう。ソフトウェア更新を必要とするモデルが増えると審査件数が多くなることが予想される。これに対しては、審査の手数料収入を体制の拡充に充てて対応する。
この他にも、分解整備で対象とする範囲を拡大し、運転支援システムや自動運転システムに使用するカメラやレーダーといったセンサーの交換や修理も分解整備に含める。名称は「特定整備」に改めるとともに、自動車メーカーなどに対し点検整備に必要な技術情報を分解整備を行う事業者に提供することを義務付ける。また、電子的な検査の導入に合わせて、必要な技術情報の管理に関する事務を自動車技術総合機構で行うこととした。
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