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» 2019年02月21日 10時00分 公開

パナソニックが挑むデザインによる変革、カギは「日本らしさ」と失敗の量デザインの力(4/4 ページ)

[三島一孝,MONOist]
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デザインに求められるビジネス価値

MONOist デザインの担う役割がこれだけ広がれば、求められる成果も大きくなりますね。まずはどのようなところを目標に置いていますか。

臼井氏 いかに新しいものをデザイン部門発で生み出せるかというのが、重要な目標だと考えている。既に、先行したアプライアンス社では、事業化を進めているものもあり、規模の大小はあるにせよ、2020年や2021年には事業として成立するものを生み出していきたい。イノベーションというと大きな期待をかけられることもあるが、サイズ感をどう設定するかが大事だ。適正なビジネスインパクトの共有と、体制作りなどが重要になる。

photo デザインプロジェクトによって生まれた茶筒をモチーフとしたスピーカー「響筒」。2019年春に商品化を予定する(クリックで拡大)

MONOist イノベーションを実現するにはどういう要素が必要だと考えますか。

臼井氏 イノベーションという言葉が示す意味は幅広く、必ずしも技術力は必要ないという解釈もあるが、パナソニックが取り組む上ではやはりテクノロジーを組み合わせたものが必要になると考えている。

 既存の技術の組み合わせを変えるだけであれば、いくらデザインを基盤とするといってもすぐに追従される。むしろ新規技術に対して早期からデザイン部門が参画することで、世の中に受け入れられる形を作り上げ、イノベーションを実現するという流れが理想だ。

 例えば、イタリアのミラノで開催されているデザイン賞である「ミラノサローネ 2018」でパナソニックは「ベストテクノロジー賞」を受賞した。「Air Inventions(空気の発明)」という作品だが、これは水滴をモチーフとした直径20メートルのエアドームに、空気を浄化するデバイス技術「ナノイーX」と、高圧の圧縮空気を用いて水を微細化する「シルキーファインミスト」を組み合わせて「ミラノの街中で、最も美しく澄んだ空間」を創出したものだ。ドーム内部には4Kレーザープロジェクターと高解像度魚眼レンズを用いた映像を投影し、ミストに包まれた幻想的な空間を演出した。

photo ミラノサローネに出展した「Air Inventions」(クリックで拡大)出典:パナソニック

 われわれはこの作品を、形のない空気に技術を加えそれを体験する「体験価値」をデザインしたものだと捉えていたが、審査員からは「素晴らしい技術だ」と評価を受けた。つまり、デザインを切り口にしつつも、新しい技術を加えなければパナソニックらしいイノベーションは実現できないということだと理解した。

 その意味ではデザインも理解できエンジニアリングもできるデザインエンジニアと呼ばれる存在が今後ますます重要になる。これらの人材育成を強化していくとともに、先述したように人材交流を進め、デザイン部門と技術部門を緊密に結んでいく。そうすることで、あたかもデザインエンジニアのようなチームを作ることもできると考えている。

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