ダイナミックマップ基盤は2019年2月13日、北米で高精度地図を手掛けるUshrを買収すると発表した。これまで高精度地図は地域ごとに作製が進められてきたが、買収によって自動運転など向けの高精度地図の仕様や更新手法を日米で共通化し、高精度地図の普及につなげる。
ダイナミックマップ基盤は2019年2月13日、北米で高精度地図を手掛けるUshrを買収すると発表した。これまで高精度地図は地域ごとに作製が進められてきたが、買収によって自動運転など向けの高精度地図の仕様や更新手法を日米で共通化し、高精度地図の普及につなげる。また、自動車メーカーに対して北米と日本の高精度地図ソリューションを提供できる体制をつくっていく。なお、買収額は現時点で非公表としている。
ダイナミックマップ基盤は、Ushrの買収に合わせて、買収資金と今後の北米での成長資金を確保するため、産業革新機構から新設分割したINCJ、三菱電機、海外インフラ事業への投融資を行うジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブを引受先とする第三者割当増資実施する。出資の上限額について、INCJは180億円、三菱電機、ジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブはそれぞれ20億円と定めた。
Ushrは2016年12月設立の新しい企業だ。筆頭株主はGeneral Motors(GM)のコーポレートベンチャーキャピタルであるGM Venturesで、出資比率は19.99%となっている。Ushrは、GMの「キャデラック CT6」の2018年モデルに搭載された高速道路用の先進運転支援システム「スーパークルーズ」の車両制御技術向けに、高精度地図を提供した実績がある。スーパークルーズは、自動運転としてはレベル2に該当する。ドライバーによる周辺監視が常時要求され、車線変更も手動でステアリング操作を行う必要があるものの、ドライバーはステアリングから手を離すことが認められている。
ダイナミックマップ基盤は、高精度地図の整備に向けた協調領域に取り組むため、自動車メーカーや電機メーカー、地図会社などが共同出資で設立した。2018年度までに日本国内の高速道路合計3万kmの高精度地図を整備する計画を表明するとともに、海外の地図データ大手であるHERE Technologies(HERE)と連携に合意している。
高精度地図の仕様統一に向けた動きは幾つかある。HEREは「OneMap Alliance」を結成し、自動車メーカーが地域の制約を受けずに各市場で同じ仕様の高精度地図「HD Live Map」を利用できるようにする方針だ。提供は2020年から開始するとしている。HEREと業務資本提携を結んだパイオニアとインクリメントP、HEREの株主で中国の地図データ会社NavInfo、韓国の大手通信事業者SK Telecomがメンバーとなる。
一方、トヨタ自動車は、自社や他の自動車メーカー、タクシーなどフリート管理会社の車両などから得られるセンサーデータを共有し、これを基にAI(人工知能)を使って高精度地図を自動生成し、更新していく仕組み「自動地図生成プラットフォーム(AMP)」を開発する。AMPは高速道路以外を主眼としている点が特徴だ。AMPはオープンソースのソフトウェアプラットフォームを通じて、開発者が高精度地図を自由に利用できるようにする。
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