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» 2019年01月29日 10時00分 公開

2019年は民間機による「宇宙旅行元年」となるか、はやぶさ2のタッチダウンも注目MONOist 2019年展望(3/5 ページ)

[大塚実,MONOist]

月探査に挑む中国とインド、民間企業もしのぎを削る

 近年、月探査が再び注目されており、2019年もさまざまな動きがありそう。まず中国は、嫦娥4号に続き、「嫦娥5号」ではついに月面からのサンプルリターンに挑む計画。海外報道では、2019年末までに実施するという話が出ており、もし実現に成功すれば、旧ソ連の「ルナ24号機」以来、じつに43年ぶりとなる。

 またインドは、同国として2機目となる月探査機「Chandrayaan-2」を、2019年初めにも打ち上げるとしている。2008年の初号機は周回のみだったが、この2号機ではランダーとローバーによる月面探査も行う計画。当初の予定からかなり遅れていることが気掛かりなものの、成功すれば、旧ソ連、米国、中国以来、4カ国目の月面着陸となる可能性がある。

⇒Chandrayaan-2

 一方、日本は2009年に運用終了した「かぐや(SELENE)」以来、長らく月探査を行っていなかったが、次のミッションとして現在開発中なのが「SLIM」だ。SLIMでは、100m程度という高精度なピンポイント着陸技術の実証を狙う。ただ、打ち上げは2021年度のため、2019年は表面的には、あまり大きな動きは見えてこないかもしれない。

検討中の「SLIM」 検討中の「SLIM」。外観は当初案からかなり変わっている(クリックで拡大) 出典:JAXA

⇒SLIM

 今回の月探査のムーブメントは、国家だけでなく、民間も巻き込んでいるのが大きな特徴である。きっかけとなったのは、2007年に始まった賞金レース「Google Lunar XPRIZE(GLXP)」。ファイナリストとして5チームが残り、月面への一番乗りを目指したものの、期限までに達成するチームが現れず、2018年、勝者無しという形で終了していた※)

※)関連記事:月探査賞金レースGoogle Lunar XPRIZEの意義とは、HAKUTOの8年間の軌跡を追う

 しかしGLXPでまかれた種は、すでに力強く成長していた。ファイナリストの1つである日本のHAKUTOチームは、運営母体のispaceが、100億円の資金調達に成功。独自の月探査ミッションを進め、2020年に周回機、2021年に着陸機を打ち上げる予定だ。進捗次第では、日本初の月面着陸は、国よりも民間になる可能性もある。

⇒ispace

 そして2019年の注目は、やはりGLXPのファイナリストであったイスラエルのSpaceILチームだろう。すでにランダー「Beresheet」は完成しており、米国に輸送済み。SpaceXのファルコン9ロケットで、2月にも打ち上げる予定だという。月面着陸に成功すれば、もちろん同国初、そして民間でも初となる。

SpaceILのランダー「Beresheet」 SpaceILのランダー「Beresheet」。特殊なコンテナに入れて、米国に輸送された(クリックで拡大) 出典:Tomer Levi

 Beresheetは静止衛星への相乗りとなるため、月に直行することはできない。高度6万kmでロケットから分離された時点では、地球を周回する楕円軌道に投入されているので、エンジンを噴射して少しずつ遠地点を上げていく。適切なタイミングで月に向かい、数周した後、晴れの海に着陸する。打ち上げから着陸までは、2カ月ほどかかる見込みだ。

Beresheetのミッション(クリックで再生)

⇒SpaceIL

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