日本HPは2019年1月23日、同社が開発する3Dプリンタ新製品「HP Jet Fusion 500/300シリーズ」を日本でも2019年中に本格展開すると発表した。HP Jet Fusion 500/300シリーズはオフィスユーズを想定しており、従来の同社3Dプリンタ製品と比較してコンパクトなことが特長である。
日本HPは2019年1月23日、同社が開発する3Dプリンタ新製品「HP Jet Fusion 500/300シリーズ」を日本でも2019年中に本格展開すると発表した。HP Jet Fusion 500/300シリーズはオフィスユーズを想定しており、従来の同社3Dプリンタ製品と比較してコンパクトなことが特長である。高い造形品質と速い造形スピードはそのままで、より多くの顧客が購入しやすい価格で提供するとしている。
「HP Jet Fusion 380/580」はフルカラー造形が可能な機種、「HP Jet Fusion 340/540」は白色の造形のみに対応する。なおフルカラー造形については表層のみの着色となる。造形サイズは300型番が190×254×248mm、500型番が190×332×248mmである。造形材料はいずれもナイロン12ベースの専用のもののみ。
フルカラー着色の用途としては、プレゼンテーション用のモックアップ、生体モデル、カスタマイズ義肢装具、ラベリング、カスタマイズグッズ、治具などを挙げた。QRコードを造形物にプリントしてトレーサビリティー管理に活用することも例として紹介した。治具に着色するメリットとしては、生産現場の作業担当者の注意喚起に有効だとして、HP社内でも例があるという。
HP Jet Fusion 500/300シリーズの装置そのものにもHP Jet Fusionによる3Dプリントのパーツを活用。総部品点数のうち約半数に当たる140点程度の部品で採用しているといい、これが本体サイズの縮小に寄与したということだ。
なおHPの今後の3Dプリンティング事業の展開としては、金属3Dプリンタへの取り組みを強化することを挙げた。2018年にはGKNとParmatechの2社と協業し、金属3Dプリント技術「HP Metal Jet」を開発すると発表している。まず2019年中には受託造形サービスを提供開始予定だという。2020年にはいよいよ製品として完成させ先行ユーザーを対象に販売開始、翌年2021年には一般発売を開始する計画だ。
HP Jet Fusionシリーズは、DMM.comの「DMM.make」、八十島プロシードといった国内の大手サービスビューロで採用されている。最終製品への活用事例としては、金星による小ロット生産、武藤工業による補給部品製造(生産中止になった部品などの補給対応)での事例を挙げた。武藤工業は新製品での活用も検討中ということだ。日本HPとSOLIZE Productは2018年から、自動車や家電メーカーを対象とした補給パーツ生産向け3Dプリンタサービスを提供開始している。
2019年1月9日には中小企業庁が下請中小企業振興法の振興基準改正を行っており、中小企業庁による金型管理に関する規定が強化される。つまり「メーカーの金型管理の負担が増大する」ことが製造業で話題になっていたことから、メーカーの金型レスへの興味や関心が高まっていると日本HPでは見ており、ここのところで同社サービスや製品への引き合いも増加しているということだ。HP Jet Fusion のユーザーにおいては、自動車・輸送機関、工作機械・ロボット、医療、コンシューマー製品の分野で、最終製品への適用が着実に増えているという。
「日本国内の製造業では、3Dプリンタの活用法について、まだ試作用途など一昔前の考え方が多い」(日本HP 3Dプリンティング事業部 事業部長 秋山仁氏)といい、日本HPでは「経営ツール」としての価値を提案していきたいとしている。「市場投入の加速」「製造コスト削減」「性能向上および設計最適化」「新ビジネスおよびサービスの実現」といった価値の経営面への寄与、CO2削減や産業廃棄物削減などサステナビリティ面への貢献など訴求していく方針だ。
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