「中国メーカーにも売る」トヨタとパナソニックが車載用角形電池の合弁会社設立:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
さらに今回の合弁で特徴的なのが開発した電池の販売についてである。提携に関するリリース本文には「両社は性能およびコスト面において業界ナンバーワンの高容量、高出力に対応した車載用角形電池を実現し、トヨタのみならず広く自動車メーカーの電動車の普及に貢献すべく」という文言がある。
実際に「特に制限を設けずに従来取引のある自動車メーカーについても変わらずそのまま製品を提供していく。今まで取引がないメーカーについても特に制限はなく、幅広く提供することに取り組んでいく」とパナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 エナジー事業担当 事業開発部 事業開発課 主幹 伊藤竜郎氏は述べている。
自動車メーカーおよび電池の開発については中国メーカーとの競争も厳しくなってきているが、これらの中国メーカーに対しても「個別に評価してもらえるところについては制限を設けずに提供の可能性は検討する」(同氏)としている。これらの中国メーカーに限らず、欧州メーカーや日本メーカーなど、トヨタ以外の自動車メーカー向けへの電池提供については、基本的にはパナソニックから販売することになるという。
パナソニックの車載電池事業は、今回の角形リチウムイオン電池と、テスラと協業する円筒形リチウムイオン電池の主に2軸での取り組みを進めており「今後も基本的にはこの方針に変わりはない」(伊藤氏)。
テスラ向けでは「18650」とされる円筒形電池を納品しているが「円筒形は、その強みでもある高容量化、高密度化を進め、伸ばしていく計画だ。円筒形で培った技術を角形に展開したり、角形で培った技術を円筒形に展開したり、相互に好影響を生み出せると考えている」(伊藤氏)としている。
- 車載用“角形”電池でもトップに、パナソニックがトヨタの電池パートナーに名乗り
トヨタ自動車とパナソニックは、車載用バッテリーについて協業の可能性を検討する。両社で高性能リチウムイオン電池や全固体電池を開発する。パナソニックはテスラに供給する円筒形だけではなく角形でも車載用電池で業界ナンバーワンを目指す。トヨタ自動車は2030年までに電動車の販売を2016年比3.7倍に増やしていく中で、パナソニックと協力して電池の競争力向上と安定供給を実現していく。
- 日立は車載リチウムイオン電池も諦める、官民ファンドとマクセルに売却
日立製作所、100%子会社で車載リチウムイオン電池事業を担う日立ビークルエナジーの資本関係を再編し、官民ファンドのINCJとマクセルホールディングスとの共同出資体制に移行することで合意したと発表した。
- 日産が車載電池事業を中国の投資会社に売却、新型「リーフ」はどうなる
日産自動車は、連結子会社のオートモーティブエナジーサプライ(AESC)など保有する車載リチウムイオン電池の事業と生産工場を、中国の民営投資会社であるGSRキャピタルに譲渡する。譲渡価格は非公開で、2017年12月末までに譲渡を完了する予定。2017年9月発表予定の新型「リーフ」は、AESC製の車載電池を採用する採用する見通しだ。
- バッテリー技術の進化がもたらす電気自動車への期待
EV(電気自動車)の行方を左右してきたのは、良くも悪くもバッテリー技術だった。リチウムイオン電池の登場によりついにEV市場が形成されつつある。液体を使わない全固体電池への期待が高まっているが、2025年以降もEVのバッテリーはリチウムイオン電池が主流になるだろう。
- EVの進化は生産技術に懸かっている、「車体重量半減」「全固体電池の量産」
「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」(2018年11月1〜6日、東京ビッグサイト)の基調講演に、日産自動車 取締役副社長で生産事業担当の坂本秀行氏が登壇した。電気自動車(EV)「リーフ」の初代モデルと、2代目となる現行モデルの開発を担当した同氏が、EVの進化に必要な技術を生産の側面から語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.