富士キメラ総研は、AI関連の中国における市場を調査した。2018年の中国におけるAI関連市場見込みは340億元で、2017年比で61.9%増になると見ている。
富士キメラ総研は2018年11月8日、コア技術やシステム、プラットフォーム、設備などAI(人工知能)関連の中国における市場を調査した結果を発表した。調査によると、2018年の中国におけるAI関連市場見込みは340億元(約5510億円)で、2017年比で61.9%増になると見ている。
調査は、同年7〜9月にかけて実施。10分野の市場規模推移と、AI活用シーン、ビジネスモデル、プレーヤー、キーテクノロジー、ソリューションを調査・分析し、将来を予想している。10分野の内訳は、製造業、農林水産、医療・介護・ヘルスケア、インフラ、スマートホーム、交通、金融業、卸売小売業、教育、生活サービスだ。また、中国メガクラウドベンダー4社、中国キーテクノロジーベンダー18社の動向についてもまとめた。
市場は、半導体、画像認識、音声認識、ビッグデータ、深層学習などのコア技術やシステム、プラットフォーム、設備などを応用分野向けに提供する中国企業の売上高としている。
中国のAI関連市場は2014年に立ち上がり、150社以上のAI関連企業が2015年に設立された。2015年5月には「中国製造2025」を発表し、政府がAI産業を手厚く支援。2016年にAI産業の促進に向けた「互聯網+人工知能三年行動実施方案」を発表し、積極に補助金を支給したため、市場が拡大を続けている。
2017年7月には国務院が「国務院関於印発新一代人工知能発展規劃的通知」を発表。2020年に1500億元(約2兆4300億円)、2025年に4000億元(約6兆4900億円)、2030年に1兆元(約16兆2000億円)といった市場規模を形成する目標を設定したため、今後さらなる拡大が期待されている。
AI関連への投資は急速に拡大し続けている。2017年は、画像認識、音声認識、ビッグデータ、深層学習に投資が集中。最も多い画像認識は年間約90件、音声は50件前後の投資があり、投資額は800億元(約1兆3000億円)となった。2018年は上期が活発化。有力企業をめぐり、国有ファンド、民間ファンド、外資系ファンド、関連企業などさまざまな投資があった。さらに、BAT(Baidu、Alibaba、Tencent)による投資が加速。2017年比3.1倍となる2500億元(約4兆500億円)の投資額が見込まれる。
メガクラウドベンダーの参入動向を見ると、大手インターネット系事業者として、BATがAI関連への投資や開発で先行している。BATは膨大なユーザー数を抱えていることが最大の強みであり、蓄積したビッグデータに加え、AIを利用し、スマートフォンやIoT(モノのインターネット)を通じて得るさまざまな情報を自社事業に応用していくとみられる。
Baiduは深層学習を重視するが、自動運転分野にも注力。Alibabaは買収や投資により、画像や音声認識のコア技術企業との協力を強化し、スマートシティにAIの活用展開を模索している。Tencentも画像分野に注力し、医療での応用を推進している。
いずれも中国国内市場でアメリカ企業に対し、データ資源を保有できる優位性が続き、AI関連市場は成長していくとみられる。
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