車載ソフトウェア標準であるAUTOSAR CP(Classic Platform)に準拠するソフトウェアプラットフォーム(SPF)を手掛けるAPTJは、「Embedded Technology 2018/IoT Technology 2018(ET2018)」の開催に合わせて同会場内で会見を開き、2018年10月1日に正式販売を開始した同社のAUTOSAR CP準拠のSPF「Julinar SPF」について説明した。
車載ソフトウェア標準であるAUTOSAR CP(Classic Platform)に準拠するソフトウェアプラットフォーム(SPF)を手掛けるAPTJは2018年11月14日、「Embedded Technology 2018/IoT Technology 2018(ET2018)」(2018年11月14〜16日、パシフィコ横浜)の開催に合わせて同会場内で会見を開き、同年10月1日に正式販売を開始した同社のAUTOSAR CP準拠のSPF「Julinar SPF」について説明した。採用目標は2019年に5〜6ライセンス、2020年に17ライセンス。2019〜2020年には、Julinar SPFを使用したECU(電子制御ユニット)を搭載する車両が市場投入される見込みだ。
APTJは、国産のAUTOSAR CP準拠SPFの開発を目指して2015年9月に設立された。同社の会長兼CTOを務める名古屋大学 教授 情報学研究科附属組込みシステム研究センター センター長の高田広章氏は、TOPPERSプロジェクトなどの組み込みソフトウェアやAUTOSAR CPを中心とする車載ソフトウェアにおける研究開発に尽力してきたことで知られる。高田氏は「欧州の自動車メーカーは数年前からAUTOSAR CP対応を調達条件にしており、国内ティア1サプライヤーもそのためにAUTOSAR CPに対応してきた。国内自動車メーカーも最近になってAUTOSAR CPの採用を打ち出す例が増えてきている。事実上、AUTOSAR CPは車載制御システム向けSPFのデファクトスタンダードになっている」と語る。
その一方で、AUTOSAR CPのベンダーとしては、ベクター(Vector Informatik)やコンチネンタル(Continental)傘下のエレクトロビット(Elektrobit)、シーメンス(Siemens)傘下のメンター(Mentor Graphics)といった海外企業が有力だ。2016年に、トヨタ自動車がAUTOSAR CPの推奨プラットフォームとして選定したのも、これらの海外企業である。これに対して、国内ソフトウェア業界からも、APTJの他、SCSKを中心に展開する「QINeS」や、デンソーとイーソル、NEC通信システムが立ち上げたオーバスといったAUTOSAR CPのSPFを展開する企業が生まれている。高田氏は「国内3陣営が頑張らないと、近い将来に車載制御システム向けSPFを海外勢に寡占されてしまう可能性がある。ケータイからスマートフォンに移行したときのようなことが、再び自動車で起こるかもしれない」と強調する。
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