東北大学が、オートフォーカス機能と自己再生機能を持つ電気顕微鏡の開発に成功した。ピント調節をしなくても、体内にある35兆個の細胞を長時間直接観察できる。
東北大学は2018年11月1日、オートフォーカス機能と自己再生機能を持つ電気顕微鏡の開発に成功したと発表した。同大学未来科学技術共同研究センター 教授の寺本章伸氏らによる研究成果で、従来型の光学顕微鏡と異なり、ピント調節をしなくても35兆個以上に及ぶ体内の細胞を長時間直接観察できる。
同研究では、電極表面に生じる固体および液体界面のインピーダンスと、電極に挟まれた液体のインピーダンスを周波数特性から分離できることを発見した。今回開発した電気顕微鏡は、この手法を応用したもので、極薄の界面を振動子として扱うことにより被写体深度(ピントが合う範囲)を数μm以下におさめることに成功した。電子顕微鏡に密着させた被写体の電気化学的な特性をそのまま撮影できるので、撮影時にピントを合わせる必要がない。
また、電気化学的な特性や振動子を応用する場合、長時間の測定は困難だったが、新開発の電気顕微鏡では、液体でできている振動子が自動的に更新され、振動子としての機能が劣化することなく再生し続ける。この自己再生機能により、細胞の運動を72時間にわたって観察できた。
同顕微鏡の素子は注射針などにも搭載でき、レントゲンや内視鏡と同様に、人体イメージング技術の開発に貢献すると考えられる。これまで困難だった身体の表面に出ていない35兆個の細胞の観察が可能になったことで、例えば、がんなど細胞に原因のある病気の早期発見につながることが期待される。
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