JIMTOFでのもう1つの大きな流れとして注目されているのが、金属3Dプリンタ(金属積層造形)技術の定着である。2回前のJIMTOF2014では、切削加工と積層造形(Additive Manufacturing)を組み合わせることで“足し引き自在”とすることで効率的な造形を実現する動きが見られ、JIMTFO2016では工作機械大手の各社が追随した※)。
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一方で、切削加工と積層造形を組み合わせた機器は1台当たりで1億円単位のコストがかかるなどまだまだ高額で、航空業界など高付加価値で軽量化が強く求められる用途に限定される状況があった。
ただ、こうした動きの中で、金属積層造形が工作機械の1ジャンルとして定着する動きが進みつつある。JIMTOF2018では、金属3Dプリンタの単体機の出展が数多く見込まれている。
金属3Dプリンタへの取り組みとして1つの大きなポイントとして見られているのが、技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)の取り組みである。TRAFAMは、少量多品種で高付加価値の製品や部品の製造に適した次世代型産業用3Dプリンタ技術開発と超精密3次元造形システム技術開発を行うことを目的として、近畿大学、東北大学、産業技術総合研究所、IHIや川崎重工、小松製作所、東芝機械、トヨタ自動車、三菱重工など企業27社の参加で、2014年4月に設立された。
その目標の1つとして、次世代型産業用3Dプリンタ技術開発が進められており、2019年度末までに装置の販売を開始するとしている。既に参加各社からは試作機などが披露されており、JIMTOF2018では最終製品に近いレベルの機器が出展されると見られている。
これらの他、三菱電機が同社初の金属3Dプリンタの出展を発表するなど、新たな参入企業なども数多く登場すると見られている※)。
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金属3Dプリンタは、技術のポテンシャルとしては非常に高く、工作機械の1ジャンルとして確立する流れはほぼ間違いないと見られている。ただ、使える素材の数などが限定される他、強度などについても用途によっては不安が懸念されており、まだまだ技術開発が必要な領域も多い。方式についてもパウダーベッド方式、ダイレクトエナジーデポジション方式それぞれで課題を抱えている他、金属溶融に使うレーザー関連機器のコストなども非常に高く、これらに技術開発の余地がありそうだ。
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