IT・エレクトロニクス展からCPS/IoT展に方針変更してから3年目となった「CEATEC JAPAN 2018」。主催者企画の「IoTタウン2018」では、「社会課題を解決してSociety5.0を築く」をテーマに、各カテゴリーのフロントランナー企業が多数出展した。
2018年10月16〜19日にかけて、千葉県の幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2018」。B2Bビジネスに絞る方針変更から3年目、ようやく方向性も定まり、得られるモノも多く、楽しめる展示会になったと感じている読者も多いのではないだろうか。
CPS(サイバーフィジカルシステム)/IoT(モノのインターネット)をテーマに据えるCEATEC JAPAN 2018の一角には、主催者企画として「IoTタウン2018」という多くの企業が連なるエリアが用意されていた。本稿では、このIoTタウン2018の様子をレポートする。
IoTタウン2018のテーマは「社会課題を解決してSociety5.0を築く」。B2B2Cを前提としたモノとサービスを一体化した展示が、各カテゴリーのフロントランナー企業によって行われていた。インフラから住宅まで、幅広いIoTの利用環境を知ることができるという内容だ。
既に市場に出ているモノから、5G前提というまだ市場にないモノまでがそろっており、参入を考える企業からすると現在の状況と可能性を体感しやすい。IoTタウンを一通り体験したあと、他のブースへ行くと見え方が変化しやすい点でもよく纏まっていた。ややコンシューマー向けの感もあったのが、B2B2Cとして分かりやすいものであったのは確かだ。
研究開発機関のNICT(情報通信研究機構)では、5Gの実証実験の再現展示の他、アサヒ飲料や本所タクシーと協力して行う予定のオープンテストベッドのデモもあった。アサヒ飲料のWi-SUNマルチホップ搭載自動販売機を利用して、Wi-SUNデバイスを搭載するタクシーとの間で、タクシー乗客発見情報を共有するというものだ。車々間のすれ違い通信にも成功しており、乗客情報の直接共有もできる。墨田区でテストを行うそうで、機会があれば取材をしてみたい。
このデモの前提となるアサヒ飲料のWi-SUNマルチホップ搭載自動販売機は、ビーコン端末の位置を検知し、飛び出しや徘徊といったデータ取得や観光案内といったことをも視野に入れている。既存の自動販売機に後付けするだけで済むため対応エリアを拡大しやすく、既に多数の自動販売機が設置されている日本の環境をよく利用したものになっている。
ひときわ人だかりができていたのはローソンだ。2025年付近を想定した無人店舗を実際に試すことができた。スマートフォンにインストールした専用アプリでQRコードを表示してスキャンし、レジを通過する際に商品に取り付けられたタグを読み取るだけで会計処理が終わるというもの。ウォークスルーで完結するのがポイントだ。なお、これと類似した無人AI店舗の実証実験が、2018年10月17日から2カ月間の予定でJR赤羽駅で行われており、一気に無人店舗への注目度が高まりそうだ。
またキャッシュレス決済については、既に利用が広がっているOrigami Payのデモがあった他、三菱UFJファイナンシャル・グループがアカマイ(Akamai)と共同開発した仮想通貨による新決済プラットフォームもあった。QRコードベースか、Suicaのような電子マネーの形態をとるのか、それともフロントエンドとしてアップル(Apple)やグーグル(Google)のシステムに乗るかなど、2018年現在では多岐に分かれているが、次回の「CEATEC JAPAN 2019」でまた方向性が見えてくるだろう。
ローソンの展示でもう1つ注目を集めていたのがバーチャルクルーだ。2017年末から始まったVtuberブームの影響が見受けられるものだが、導入までのタイムラグの無さが印象深い。「キズナアイ」や「東雲めぐ」、「電脳少女シロ」といった先行事例が多く、踏み切りやすかったとも考えられる。また現状では人間が演じているが、将来的にはAIベースのモノが登場してくる可能性は高い。チャットbotの急速な進化を見ると、店頭でのベーシックな応対に標準採用されるのは、意外と近い未来かもしれない。例えば、NICTでデモが行われていた次世代音声対話システム「WEKDA」が良い例だろう。
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