KYBは2018年10月16日、同社と同社子会社であるカヤバシステムマシナリーが製造、販売する免震・制振用オイルダンパーの一部で不適切検査があったと発表した。性能検査記録データの書き換え行為があった。また、国土交通大臣認定の免振用オイルダンパー仕様とは異なった材質の部品を使用していた。
KYBは2018年10月16日、同社と同社子会社であるカヤバシステムマシナリーが製造、販売する免震・制振用オイルダンパーの一部で不適切検査があったと発表した。性能検査記録データの書き換え行為があった。また、国土交通大臣認定の免振用オイルダンパー仕様とは異なった材質の部品を使用していた。
発表時点で判明している、大臣認定の性能評価基準に適合しない、または顧客が定めた基準値を外れた製品の総数は、免振用オイルダンパーが2323本、制振用オイルダンパーが146本。適合不明の製品と現在も適合調査中の製品も多く存在し、免振用オイルダンパーでは5137本、制振用オイルダンパーでは3232本。今後の調査で、不適合品がさらに増える可能性もある。
検査データ書き換えがあったと考えられる期間は、2003年1月から2018年9月。しかし、生産工場を移管した2000年から書き換えがあった可能性もあり、同社では2000年3月以降に製造された製品についても適合不明とした。
不適合品や適合不明品の免震・制振用オイルダンパーは、全国の住宅や施設、橋梁で広く使用されており、同社は「不適合品を早急に交換することはもちろんとして、現在、書き換えの有無が不明な製品についても交換を前提として、引き続き調査を進める」としている。
今回の不適切検査は、カヤバシステムマシナリーに2018年9月8日、同社従業員による性能検査記録データの書き換えの疑いがあるとの指摘があったことから発覚した。
KYBは同月12日にカヤバシステムマシナリーより報告を受け、同日に対策本部を設置。同月19日に検査データの書き換えがあったとの結論に至り、国土交通省に対して報告している。その後、対象製品と対象物件の特定、そして基準値から大きく逸脱した物件の安全性検証のための構造計算を実施。同月26日に外部調査委員会を設置した。
また、10月5日以降に、大臣認定の仕様とは異なった材質のピストン、パッキン、塗料が使用されていたことが判明し、国土交通省に報告している。
検査データの書き換えは、オイルダンパーのピストン速度に対する減衰力の基準値逸脱許容範囲を超えた試験結果に対して行われた。許容範囲には2種類があり、1つ目は大臣認定品減衰性能で規定される±15%許容線、2つ目は顧客との契約で規定される±10%許容線がある。検査結果の書き換え行為は、
の2パターンがあった。
実際の性能検査では、試験機にダンパーを取り付けた後に試験機へ試験条件などを入力、加振試験を行う。加振試験で試験結果が不適合だった場合は、ダンパーを試験機より取り外した後、分解と調整を実施する。しかし、検査データ書き換えを行ったケースでは、加振試験で試験結果が不適合だった場合に、試験機の波形処理設定で係数を入力し、適合する波形に改ざんした。適正な試験手順では係数を入力しないという。
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