―― 産業用IoTソリューションは数多くの企業が取り組みを進めていますが、その中でシュナイダーエレクトリックの強みについてどう考えていますか。
フラジ氏 大きく分けて2つの強みがあると考えている。1つ目は先ほども説明したが、カバーしているポートフォリオが広いという点である。製品やアーキテクチャ、そして専門家のノウハウなども組み合わせて提供できることで、機械メーカーが新たにサービスや製品を開発するための負担をより多く軽減できる。それが強みだと考えている。
もう1つがこれらの幅広いポートフォリオを特定の用途に絞り込んでいるという点である。シュナイダーエレクトリックのソリューションは、基本的には「EcoStruxure」などを含め、オープンな技術で構成されているので、どの領域の機械でもソリューションを提供することは可能だ。しかし、それでは機械メーカーにとってのメリットも薄くなる。そこでニーズの高い用途に絞り込み、そこにリソースを集中させることで、より業界に特化し、必要性の高い技術などを採用することができる。成功事例やノウハウなども積み上がり、より早く成果にたどり着くことができる。
重要なのは、お互いに成功するということである。そのために今は重点10用途に絞り込んでいる。今後は用途をさらに広げることも計画しているが、現状ではフォーカスすることで強みを発揮しているといえる。
―― 産業用IoTへの積極的な取り組みが目立ちますが、GEの状況などを見ても、必ずしもうまくいっていない企業も存在します。その中で成功するためのポイントとして考えていることはどういうことでしょうか。
フラジ氏 具体的な他社へのコメントは差し控えるが、一般論としてデジタル変革の動きについて考えていることはある。第4次産業革命やデジタル変革などの動きは将来的には間違いなく価値を発揮し、新たな産業の基盤になっていくものだと考えている。しかし、この動きはジャーニー(果てしない旅)にも例えられているように、非常に長い期間を必要とする変化である。そのために事業で考えた場合には大きなリスクを抱えることになり、このリスクを低減するための考え方が必要になる。具体的には2つの点があると考えている。
1つ目は、コラボレーションである。産業用IoTは非常に長い期間の変化であるということを話したが、成果を得られない期間が長くなればなるほど、企業としては支えることが難しくなってくる。そのため、成果を得られるまでの期間をできる限り短縮化することが大事となる。また、自社で全てのリソースを賄うことは難しい。これらを考えて、できる限りコラボレーションを活用していくという考え方が重要になる。
もう1つが、スモールステップで取り組むという点だ。産業用IoTでは確実な正解例というものはなく、求める成果が得られないケースなども非常に多い。そのために失敗しても大きな損害にならないように、小さいところから成果を積み上げることが必要になる。そして成果が見えたところで大きくスケールアップするという形だ。そういうリスク低減の考え方が重要だ。
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