シュナイダーエレクトリックが考える産業用IoTで成功するための2つの注意点FAインタビュー(2/3 ページ)

» 2018年09月28日 12時30分 公開
[三島一孝MONOist]

シュナイダーエレクトリックが産業機械メーカーに提供する3つの価値

―― マシンソリューションズは産業機械メーカーにとって具体的にはどのような価値をもたらすのですか。

フラジ氏 大きくは3つの価値を提供できると考えている。

 1つ目は、シュナイダーエレクトリックの持つ幅広いポートフォリオを活用できるという点だ。産業用IoTで価値を得るためにはさまざまな技術や実装が必要になるが、シュナイダーエレクトリックでは「EcoStruxure」をはじめとする産業用IoTを実現するのに必要な技術や製品群、アーキテクチャ、サポートする技術者など、求められるポートフォリオを包括的に保有している。産業用IoTに取り組む上で重要なのは成果を得るまでの時間である。その時間を短縮するためには、協調領域においてはより幅広い分野で外部の力を活用することが重要だ。それらをまとめて提供できるというのが価値だと考えている。

photo シュナイダーエレクトリック インダストリービジネス マシンソリューションズのシニア・バイスプレジデントであるアリ・ハジ・フラジ氏

 2つ目には、インダストリー4.0などで進められる先端技術がある。シュナイダーエレクトリックでは産業用IoT領域の強化に向けて、さまざまな研究機関などとも協力し、研究開発を進めてきている。これらの成果をそのまま提供できるというのが強みだ。

 3つ目が、グローバルでのサポートだ。産業機械もグローバルで展開するのが当たり前になる中、国際規格や各国での個別の状況への対応なども必要になる。その場合には機械メーカーが個別で取り組むには大きなリソースが必要になる。これらをシュナイダーエレクトリックのリソースを使うことで解決できるようになる。

プラットフォーム化と差別化の関係

―― 多くの機械メーカーが、シュナイダーエレクトリックのマシンソリューションズを活用して機械の開発を行うようになった場合、機械メーカーの差別化が難しくなるように思います。その点についてはどう考えますか。

フラジ氏 その点を考える上でのポイントは2つあると考えている。1つは、シュナイダーエレクトリックが完全に機械やサービスの開発を請け負うというわけではないということだ。特定のユーザーと共創の形で共同開発などを進めるケースはあるが、基本はあくまでも「EcoStruxure」などをはじめとするパッケージ化されたソリューションを提供するということになる。受託開発を行うわけではない。

 2つ目が、受託開発を行うわけではないので、基本的には機械メーカーが自社で開発する領域が残るということだ。その割合をどう考えるのかというのがポイントとなる。7割はシュナイダーエレクトリックのプラットフォームを活用し、残り3割を自社開発する企業もあれば、半分ずつの比率が最適だという企業もあるだろう。これは、機械メーカーによる協調領域と競争領域をどう捉えるのかという考え方による話だ。

 差別化につながらない領域については、できる限り簡単に早く開発する必要がある。当社が考えているのは、そこを支援するということである。そして機械メーカーは差別化につながる領域の開発に集中できるようにする。そういう姿が理想だと考えており、決して機械メーカーの差別化ができなくなるとは考えていない。

 「EcoStruxure」は基本的にはオープンな技術の組み合わせで構成しているために、自社開発の領域とも簡単に組み合わせてシステム構築を行うことができる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.