富士キメラ総研が「メディカルソリューション市場調査総覧 2018」を発表した。注目市場として手術支援ロボットと遠隔医療関連システム、サービスを挙げ、それぞれの2023年市場を140億円、251億円と予測している。
富士キメラ総研は2018年8月16日、「メディカルソリューション市場調査総覧 2018」を発表した。
同社では、メディカルソリューションを以下のように分類し、その市場を調査、分析した。病院情報システムや遠隔医療システムなどを「医療機関向けシステム、ソリューション」、撮影装置や画像診断装置などを「診断、計測機器」、手術支援ロボットやカメラを「手術室関連機器、システム」、滅菌器や内視鏡洗浄消毒機などを「インフェクションコントロール(院内感染防止、制御)関連機器、システム」としている。
調査によると、国内メディカルソリューション市場は拡大している。その要因として、遠隔医療関連システムやサービスの伸長、医用画像機器の需要増加、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用したハイエンドモデルへの切り替え、クラウド型電子カルテシステムの普及、映像機器を活用した手術室関連機器やシステムの需要増加などが挙げられている。同社では、今後、各医療機器やシステム、サービスの高度化に合わせて、本格的にAI、IoT、5Gが活用されると予測する。
注目市場の1つである手術支援ロボットも市場が拡大している。2018年以降は、内視鏡把持タイプ、ロボット操作タイプともに開発が進むと予測される。2018年の市場見込は64億円。2023年の予測は140億円で、2017年比2.3倍となっている。
もう1つの注目市場である遠隔医療関連システム、サービスは、2018年見込みが133億円。2023年の予測は2017年比2.1倍の251億円となっている。同分野では遠隔画像診断サービスの規模が最も大きく、2017年は全体市場の8割を超える98億円となった。2018年は遠隔医療に参入するメーカーが増加し、今後さらに伸びるとみられる。
遠隔医療機器保守サービスは、人手不足による管理面の懸念や医療機器のセキュリティに関する意識の高まりにより、需要が徐々に増加するとみられる。今後、遠隔医療はシステム、サービス単体ではなく、他の医療システムと合わせて普及しそうだ。
医療機関向けシステム、ソリューションは、電子カルテシステムが市場をけん引。また、診療報酬の改定により、遠隔医療関連システム、サービスの需要が増加している。今後、消費税の増税や2020年のWindows7サポート終了によるリプレース需要などの影響で、一時的な市場拡大が期待される。
診断、計測機器は、需要は拡大しているが、価格競争の激化により一部の製品で単価の下落が見られる。
手術室関連機器、システムは、大規模病院を中心に硬性内視鏡や手術用顕微鏡システムで3D、4K、8K対応製品の導入が進んでいる。また、手術支援ロボット「da Vinci」の保険対象手術が増加し、特許期間終了に伴う参入企業の増加も見られる。
インフェクションコントロール関連機器、システム市場は、内視鏡による検査や外科手術の増加、医療機関での院内感染予防対策室(ICR:Infection Control Room)設置に加え、国内での院内感染対策が進み、堅調に拡大しそうだ。
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