オプティムが開催した「スマート農業アライアンス」の成果発表会に、コマツ 会長の野路國男氏が登壇。コマツが石川県で推進しているスマート農林業の取り組みについて紹介した。
オプティムが2018年7月23日に開催した「スマート農業アライアンス」の成果発表会に、コマツ 会長の野路國男氏が登壇。コマツが石川県で推進しているスマート農林業の取り組みについて紹介した。
コマツと言えば大手建設機械メーカーとして知られている。建設のスマート化という観点であれば、機械稼働管理システムの「KOMTRAX(コムトラックス)」や、施工ソリューション「スマートコンストラクション」、そしてオプティムなどと共同展開する建設生産プロセス向けのオープンクラウドIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」などがあり、業界をけん引する存在だ。
しかし農業分野でもコマツのブルドーザーなどが整地などに用いられており、全く無関係ではない。実際に野路氏は「コマツとしても農業に大きな関心があり、危機感も持っている」と語る。
コマツは2013年から、石川県や北國銀行と組んでファンドを形成し、農業や林業のイノベーションを目的とした産学官連携への投資を続けてきた。野路氏は「最初はなかなか芽が出なかったが、今はかなり忙しくなっている」と手応えを感じている。
成果の事例として示したのが、農業アタッチメントとの組み合わせによるICT建機の農業活用だ。今までの農業にはない新たな作業工程づくりや、作物に適したほ場の形状変更などの農地改良により、生産性向上や所得向上を目指している。「農機でやれることをどうこうするのではなく、今までできなかったことを建機で実証する。これがイノベーションに当たる」(野路氏)。
なお、建機は重いイメージがあるものの、その1m2当たりの接地圧は人よりも軽い。このため、農場に建機が入ること自体は大きな問題にならないという。それどころかブルドーザーによる水整地で稲の収穫量が5〜10%増える効果もある。
例えば、田植えを行う必要がない稲作である「多機能ICTブルドーザー+直播栽培+新品種」では、水稲生産コストを4割削減することに成功した。ICTブルドーザーで±15mmという高精度の均平化を実現し、V字の溝に直播する栽培手法で水稲作業時間を3割削減した。これだけでもコスト2割削減だったが、ひゃくまん穀という新品種を使うことで4割削減を実現している。
また1台のICTホイールローダーで多様な作業を行えることも確かめている。耕起から肥料散布、整地・ならし、種まきといった農作業の他、畑地形状変更、耕作放棄地再生、運搬や除雪作業といった農機ではできないことも可能だ。
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