ソニーは通期業績を上方修正も、赤字続きのスマホ事業で画竜点睛を欠く:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
ソニーの十時裕樹氏
ソニー 代表執行役 EVP CFOの十時裕樹氏が「新中期計画※)の最初の四半期としては順調なスタート」と語るように、全体としては好業績だったが、2016年度から業績悪化の続くモバイルコミュニケーション分野は減収減益となった。売上高は前年同期比27%減の1325億円、営業損益は同144億円悪化の108億円の赤字で、欧州と日本を中心にスマートフォンの販売台数が減少した。「競争環境は厳しい上に、当社商品の商品力が優位とはいえない可能性もある」(十時氏)。
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モバイルコミュニケーション分野の通期見通しは、販売目標台数を下方修正し、売上高が前回予想比300億円減の6100億円、営業損益が同150億円悪化の300億円の赤字とした。十時氏は「競争環境はより厳しくなることから、当期中のさらなる修正もあり得る。その場合には新中期計画の見直しも必要になるかもしれない」と述べ、今後のさらなる下方修正の可能性も示唆した。ただし、今後のソニーの事業で重要な役割を果たす5Gの技術開発のため、モバイルコミュニケーション分野の事業を継続するという「基本スタンスに変更はない」(十時氏)ともしている。
モバイルコミュニケーション分野の業績推移と見通し(クリックで拡大) 出典:ソニー
ソニーは、ビジネスリスクのマイナス要因を業績見通しに織り込んでいるが、今回の通期予想ではその金額を、前回の900億円から730億円積み増して1630億円とした。「このうち最も大きいリスク要因がモバイルコミュニケーション分野だ。この他、積層セラミックコンデンサーやメモリなど電子部品の調達価格の高騰なども入る」(十時氏)。
なお、ソニーは2018年9月1日付の役員人事で、ルネサス エレクトロニクスの車載半導体事業を統括していた大村隆司氏※)を、執行役員 半導体担当常務補佐として登用することを発表している。十時氏は、大村氏について、「半導体分野で豊富な経験と高い専門性を有している人物だ。まずは半導体事業担当常務の清水(照士氏)をサポートしてもらいながら、数カ月以内には責任範囲を決めたい」と述べている。
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- 「感動」を再定義、ソニーが考える“インターネットの脅威”の乗り越え方
ソニーは2018年5月22日、新たに吉田憲一郎氏が代表取締役社長 兼 CEOになって初となる、2019年3月期(2018年度)〜2021年3月期(2020年度)の中期経営計画を発表。3年間の累計営業キャッシュフローを前3カ年比で5000億円以上増加させ、2兆円を目指すとした。
- ソニー過去最高業績もスマホ事業が赤字、それでも続ける理由は「5G」
ソニーが2017年度(2018年3月期)の連結業績と2018年度の連結業績見通しを説明。2017年度は過去最高業績を達成したが、スマートフォンを手掛けるモバイルコミュニケーション分野は赤字となった。規模を絞り込んで事業を継続するが、それは次世代通信技術である5Gのためだという。
- ソニーが20年ぶりの好業績、改革やり遂げた社長の平井氏は退任へ
ソニーは2018年度第3四半期の業績発表と併せて、現社長の平井一夫氏が会長に退き、現副社長の吉田憲一郎氏が社長に就任する社長交代人事を発表した。
- ソニーのエレキ事業が19年ぶりに第4四半期黒字を確保、中計目標は達成できるか
ソニーは、2016年度(2017年3月期)決算と2017年度の業績見通しを説明。3カ年の中期経営計画の最終年度となる2017年度の連結業績は、売上高が前年度比5.2%増の8兆円、営業利益が同73.2%増の5000億円、税引前利益が同86.8%増の4700億円、当期純利益が同3.4倍の2550億円、ROE(株主資本利益率)は10%以上を見込む。
- “8年ぶり”最終黒字のソニー、アップルショックと熊本地震でエレキ4分野に暗雲
ソニーは2015年度決算を発表。売上高は微減したものの利益は大幅に改善。実質的な最終利益が黒字となるのは2007年度以来8年ぶりと好調だった。しかし「iPhone」の出荷数大幅減による「アップルショック」により、業績のけん引役だったイメージセンサーが軟調に。熊本地震の影響で他のエレクトロニクス分野の業績も悪化は避けられそうにない。
- 次世代の車載マイコンはルネサスにしか作れない
車載マイコン、車載情報機器向けSoCの世界シェアで圧倒的にトップに立つルネサス エレクトロニクス。東日本大震災による主力工場の被災や続くリストラの影響により、競合他社の攻勢に対して防戦一方の状況にあるかのように思える。実際にはどういう状況にあるのか。同社の執行役員常務で、車載分野向け製品担当の第一ソリューション事業本部長を務める大村隆司氏に聞いた。
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