ソニー 代表執行役 EVP CFOの十時裕樹氏が「新中期計画※)の最初の四半期としては順調なスタート」と語るように、全体としては好業績だったが、2016年度から業績悪化の続くモバイルコミュニケーション分野は減収減益となった。売上高は前年同期比27%減の1325億円、営業損益は同144億円悪化の108億円の赤字で、欧州と日本を中心にスマートフォンの販売台数が減少した。「競争環境は厳しい上に、当社商品の商品力が優位とはいえない可能性もある」(十時氏)。
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モバイルコミュニケーション分野の通期見通しは、販売目標台数を下方修正し、売上高が前回予想比300億円減の6100億円、営業損益が同150億円悪化の300億円の赤字とした。十時氏は「競争環境はより厳しくなることから、当期中のさらなる修正もあり得る。その場合には新中期計画の見直しも必要になるかもしれない」と述べ、今後のさらなる下方修正の可能性も示唆した。ただし、今後のソニーの事業で重要な役割を果たす5Gの技術開発のため、モバイルコミュニケーション分野の事業を継続するという「基本スタンスに変更はない」(十時氏)ともしている。
ソニーは、ビジネスリスクのマイナス要因を業績見通しに織り込んでいるが、今回の通期予想ではその金額を、前回の900億円から730億円積み増して1630億円とした。「このうち最も大きいリスク要因がモバイルコミュニケーション分野だ。この他、積層セラミックコンデンサーやメモリなど電子部品の調達価格の高騰なども入る」(十時氏)。
なお、ソニーは2018年9月1日付の役員人事で、ルネサス エレクトロニクスの車載半導体事業を統括していた大村隆司氏※)を、執行役員 半導体担当常務補佐として登用することを発表している。十時氏は、大村氏について、「半導体分野で豊富な経験と高い専門性を有している人物だ。まずは半導体事業担当常務の清水(照士氏)をサポートしてもらいながら、数カ月以内には責任範囲を決めたい」と述べている。
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