世界中の多くの製造業が祖業を手放す中、パナソニックはいまだに配線器具市場で大きなシェアを確保している。その強さの秘訣とは何だろうか。本稿では前編でパナソニックの配線器具事業の概要について、後編で配線器具事業のマザー工場である津工場の現場力について紹介する。
2018年に100周年を迎えたパナソニック。その創業事業は配線器具事業である。世界中の多くの製造業が祖業を手放す中、パナソニックはいまだに配線器具市場では国内はもちろん、グローバルでも大きなシェアを確保している。その強さの秘訣とは何だろうか。前編でパナソニックの配線器具事業の概要について紹介したが、後編で配線器具事業のマザー工場である津工場(三重県津市)の現場力について解説する。
津工場は1943年に設立。敷地面積は約10万m2、従業員数は約1600人が所属する。配線器具は地域や顧客などによってさまざまな機器が必要となるが、取り扱いの品番は約1万にも及ぶ。
これらの中でモノづくりについては2つの方針を示す。1つは「五設一体思想」である。これは各部門が同時に商品開発を始めることで、スピーディーで合理的なモノづくりを実現するという考え方だ。商品の設計、工法の設計、設備や金型の設計、工程管理の設計などを同時に考えることで、不良が出にくく無駄のない設計および製造方法を確立できる。
もう1つが、一貫内製化である。金型から部品、組み立てまでを工場で一貫して行うことで高品質化を実現しているというものだ。パナソニック エコソリューションズ社 津工場長の吉岡浩一氏は「津工場では年間8500万個の配線器具を生産している。その多くが長期間にわたって電気を供給し続けなければならないスイッチやコンセントなどの製品だ。デザイン性や機能性はもちろんだが、安全性や信頼性が何よりも重要だ」と吉岡氏は述べている。
信頼性や安全性を実現するために、熱などで劣化しにくい難燃性ボディーの採用など素材面での工夫などを推進。さらに従業員については技能者育成に取り組み、技能士などの資格取得を積極的に推進する。津工場における取得社員数は540人、資格取得数は1216個となり、高い技術力を保持している。
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