ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は2018年6月14日、都内で3つのワーキンググループ(WG)の活動報告会を開催。「全体最適」を実現するシステム思考の重要性や、海外との連携、工場外の最適化への取り組みなどを重点領域に挙げた。
ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は2018年6月14日、都内で3つのワーキンググループ(WG)の活動報告会を開催。「全体最適」を実現するシステム思考の重要性や、海外との連携、工場外の最適化への取り組みなどを重点領域に挙げた。
ロボット革命イニシアティブ協議会は「ロボット新戦略」実践組織として2015年5月に発足。インダストリー4.0など製造業のビジネス変革をテーマとした「IoTによる製造ビジネス変革WG(WG1)」、ロボットの社会実装をテーマとした「ロボット利活用推進WG(WG2)」、ロボット技術そのものの進化を目指した「ロボットイノベーションWG(WG3)」の3つのWGによる活動を進めてきた※)。
※)関連記事:政府主導の“インダストリー4.0”対抗基盤「IoTによる製造ビジネス変革WG」が始動
本稿では前編で「IoTによる製造ビジネス変革WG」のここまでの活動と2018年度の取り組みについて、後編では「ロボット利活用推進WG」「ロボットイノベーションWG」の活動の様子を紹介する。
RRIのWGにおいて「IoTによる製造ビジネス変革WG(WG1)」は、ドイツのインダストリー4.0など製造業のビジネス変革をテーマとしている。WG1での2017年度の取り組みで大きな成果を示したのが「国際標準化」への取り組みである。
RRIでは2016年にドイツのインダストリー4.0推進団体「プラットフォームインダストリー4.0」との協力を発表※)しており、2017年度は9回の日独標準化専門家会合を開催。将来像(ユースケース)を描き、それに基づいて標準化の要件を抽出する作業を共同で行うことに合意した。
※)関連記事:IoTで日独連携が成立、6項目で覚書締結へ
2017年11月のRRI国際シンポジウムでは「価値を生むサービスのユースケース」について将来像の1つとして分析する方針を発表。そして、2018年4月にドイツのハノーバーメッセの日独IoTフォーラムでその結果を文書として発行した。
RRI WG1の共同主査である日立製作所の濱村有一氏は「日独連携の発表以降2年間にわたった取り組みの成果を示すことができた」と手応えについて述べている。
今回取り上げた将来像ユースケースは、ユーザー価値を基準としたサービス提供として、生産財の提供から、運用データを活用したサービスを取り上げた。これは設備機器の運転データなどを収集、分析して予防保全に活用するケースなどに相当し、製造業がデジタライゼーション(デジタル化)によるサービスビジネスモデルへと進む中で重要なケースになると想定している。
さらに国際標準化に向けては「運用」レベルでのシナリオをさらに掘り下げて「機能」レベルでのステップに深めて議論を推進中だとしている。
工場などがスマートファクトリー化する中で課題となる産業セキュリティについても「プラットフォームインダストリー4.0」との日独専門家会合を6回実施し、ユースケースベースでの要件検討を行った。産業セキュリティ独自の整合性や信頼性、攻撃への即応性などの議論についても進めているという。
さらに、企業間連携として、サプライチェーンを取り上げ、組織や人、モノなどの枠組みでセキュリティ確保を進めていくことが重要であると中間結果として合意を得た。これらに基づき2018年5月には、ドイツでのポストG20のタイミングで、日独共同ペーパーを発表している※)。
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