IDC Japanは2018年5月17日、東京都内で会見を開き、国内商用ロボティクス市場の動向について説明した。
IDC Japanは2018年5月17日、東京都内で会見を開き、国内商用ロボティクス市場の動向について説明した。
IDCでは、商用ロボティクス市場の支出額予測について、テクノロジー別と、産業分野別/ユースケース(用途)別で分けて発表している。今回の会見は、同日に発表した国内商用ロボティクス市場の産業分野別/ユースケース(用途)別の支出額予測に基づいている。
国内商用ロボティクス市場の規模は、2017年の1兆30億円から、2022年には2兆8390億円まで成長する見込みだ。年間平均成長率は23.1%に達する。市場をけん引する産業分野は製造業向けで、2017年の7530億円から、2022年には1兆9290億円まで成長する。年間平均成長率は22.3%だ。製造業向けは、組み立て製造とプロセス製造に分かれるが、両分野とも自動化や生産性向上に向けた投資が行われており、これがロボティクス市場の成長につながるようだ。
IDC Japan コミュニケーションズグループ シニアマーケットアナリストの藤村成弘氏は「特に、プロセス製造の1つである食品加工では、単にモノをつかむだけでなく、形を崩さないようにするなど繊細な対応が求められる。ライン変更が多いことを含めて、移動が容易な協働ロボットを活用した自動化の取り組みが進んでいる」と語る。加えて、生鮮食品の消費期限のチェックなどのために、ロボットに用いられる画像処理技術も高度化していくとしている。
ヘルスケア向けは、2017年の650億円から、2022年には1850億円となる。年間平均成長率は23.4%。「da Vinci」などの手術支援ロボットの導入が加速するとともに、健康管理ロボットや服薬支援ロボットの市場も拡大する。
流通向けは、2017年の220億円から、2022年には1150億円となる。年間平均成長率は39.6%となる。物流現場では働き手不足が顕著になっており、ロボットを用いた省人化や自動化が進む見通し。「完全自動化というよりも、商品が積まれている棚を運ぶ『Butler』など、作業員の移動時間を短縮させるようなロボットの導入が進んでいる」(藤村氏)。
IDCの調査では、エンタープライズ用のドローンも商用ロボティクス市場に含まれている。国内の支出額は、2017年が56億2000万円にとどまるものの、2022年には418億4400万円に伸びる。年間平均成長率は49.4%と高い。藤村氏は「電波法や航空法を順守するため現時点での市場は小さいが、2016年に内閣府が発表した『空の産業革命に向けたロードマップ』に基づいて規制緩和が進むだろう。コマツがDJI製ドローンを1000台採用するなど、本格導入も始まっている」と述べる。
なお、世界全体の商用ロボティクス市場の規模は、テクノロジー別の支出額予測と併せて発表されており、2017年が8兆600億円、2021年が20兆7720億円となっている(2022年の支出額予測については、産業分野別/ユースケース(用途)別の各国/地域の調査がまとまり次第発表される予定)。国内市場は世界で3位の規模になるという。
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