TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア2018)特集

サーボモーターのトルク波形を使って異常検知、AIと組み合わせて予知保全にテクノフロンティア2018

安川電機は、「TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア2018)」において、サーボモーターから得た情報を用いた異常検知システムを展示した。同社が2017年10月に発表したスマート工場の新コンセプト「i3-Mechatronics」に向けて、サーボモーターを手掛けるモーションコントロール事業部としての取り組みを示したものだ。

» 2018年05月08日 10時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 安川電機は、「TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア2018)」(2018年4月18〜20日、幕張メッセ)において、サーボモーターから得た情報を用いた異常検知システムを展示した。同社が2017年10月に発表したスマート工場の新コンセプト「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」に向けて、サーボモーターを手掛けるモーションコントロール事業部としての取り組みを示したものだ。

サーボモーターから得た情報を用いた異常検知システムのデモ異常の兆候を検知できる サーボモーターから得た情報を用いた異常検知システムのデモ(左)。標本データに対するマハラノビス距離とマハラノビス閾値から異常の兆候を検知できる(右)(クリックで拡大)

 サーボモーターで動作するベルトシステムを用いたデモ展示では、正常に動作しているサーボモーターのトルク波形から得た基準となる標本データが設定されている。この標本データに対して、動作しているサーボモーターのトルク波形との差異から統計学などで用いられている「マハラノビス距離」を導出する。さらにこのマハラノビス距離について、正常動作を示す閾値を「マハラノビス閾値」として設定。リアルタイムで得られるマハラノビス距離が、マハラノビス閾値から外れる回数が少なく、その回数も安定していれば動作は正常だ。

 デモ展示では、アイドラを使って外乱を加えることにより、マハラノビス閾値から外れる回数が急増することを示した。「マハラノビス距離をリアルタイムでモニタリングすることにより、サーボモーターを用いたシステムの異常の兆候を検知できる」(安川電機の説明員)という。

 なお、サーボモーターのトルク波形などの情報は「YASKAWACockpit」と呼ぶPCで収集/解析している。一般発売はしていないが、先行ユーザーによる評価を受けている段階だ。なお、YASKAWACockpitで収集/解析した情報をAI(人工知能)と組み合わせることで予知保全が可能になる。そのAIとなるのが、安川電機子会社のエイアイキューブ(AI3)が開発を進めている「Cube-IX」である※)

※)関連記事:ボールねじの不具合を未然に防ぐAI、データはサーボモーターのトルク波形だけ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.