VR/ARが描くモノづくりのミライ 特集

VRは見るだけでは終わらない、触覚デバイスや視線追尾で生まれる価値VRニュース

NECはVRソリューションへの取り組みを紹介するとともに、新たな技術提案を行った。

» 2018年03月22日 06時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 NECは2018年3月20日、法人向けVR(仮想現実感)ソリューションの動向と新たな技術提案について紹介した。

B2B向けVRの3つのポイント

 NECでは、2015年からVRソリューションへの取り組みを開始。まずはNECグループ内でのトレーニング実証を開始した。2016年10月には法人向けVRソリューションの提供を開始。2週間5万円程度で貸し出しを行う「VRお試しパック」なども用意し、B2BでのVR活用を推進してきた。

photo NEC SI・サービス市場開発本部 シニアマネージャーの原暁央氏

 NEC SI・サービス市場開発本部 シニアマネージャーの原暁央氏は「ゲームなどB2C用途ではなくB2BでVRを活用するためには3つのポイントがある。1つは業務プロセスにどう組み込むのかという点、2つ目が使い続けることを想定し人間中心設計である点。3つ目が関連技術の進化が激しい中スピードを維持するために外部との協業を進める点だ」と述べている。

 NECでは、これらの3つのポイントを押さえながら取り組みを進め、1年半の間に約30社への導入を実現。「その他にも100社以上からの問い合わせを受けている。数年の間に数倍レベルではなく、急速に大きく成長する可能性を秘めている」と原氏は手応えについて語っている。

 現状では、VRソリューションの活用領域は「トレーニング」「シミュレーション」「コミュニケーション」「セールスプロモーション」の4つの利用シーンが多いという。その中でも特に「トレーニング」と「シミュレーション」が多く「この2つの利用シーンが大半を占める。業種としては製造業と小売り業が多い」(原氏)としている。

photo VRソリューションで想定される4つの利用シーン(クリックで拡大)出典:NEC

 将来的にはこれらの4つの利用シーンでの使い方をさらに高度化していく方針。視線情報や触覚情報を組み合わせることで、VR空間内でマルチプレーヤーでのコミュニケーションを進めていく。「遠隔地で複数人でVR空間上でコミュニケーションを取るような利用方法は既に実証なども進んでおり、2018〜2019年には実導入も一気に増えると見ている」と原氏は予想する。さらにその先には業務システムとの連携などを進め「業務プロセスの一部をVR上で完結するような取り組みも進む」(原氏)としている。

視線情報の活用と触覚デバイスとの組み合わせ

 NECでは新たに視線情報との組み合わせや触覚デバイスとの組み合わせによる新たなVRソリューションなども用意。実証などを通じて市場展開を進めていくという。

 視線情報(視線追跡技術)の活用では店頭展示の最適化を想定。視線追跡機能付きVRヘッドセット「FOVE」と店舗における棚割り情報(PTS)を組みあわせることで、仮想空間上の商品棚を「どのように見るか」や「どこをよく見るか」などを定量的に評価できるようになる。視線の軌跡などをヒートマップとして可視化することで棚割りの効果検証を可能とする。

photo 視線情報を活用した棚割りのヒートマップ表示。どの商品をよく見るかなどを検証できる(クリックで拡大)出典:NEC

 触覚デバイスとの組み合わせソリューションでは、製造業におけるトレーニングを想定。従来の映像だけでなく、触覚デバイスからのフィードバックを得られることで、壊れやすいものを扱うようなトレーニングなども行うことが可能となる。

photo 触覚デバイスとの組み合わせでトレーニングを行うデモ。触覚へのフィードバックがあることでより現実的なトレーニングを行える(クリックで拡大)出典:NEC

 NECでは今後これらの知見を生かしつつ、VRソリューションの提案を強化し、費用対効果を生み出せるベストプラクティスをより多く生み出していく方針である。

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