2017年2月15〜16日に開催された「Manufacturing Japan Summit」では、パナソニック エコソリューションズ社 技術本部主幹の中谷光男氏が登壇。「可能性を広げる3次元化の実現に向けて」をテーマに講演した。
日本トップクラスの製造業の設計・開発、製造・生産技術担当役員、部門長らが参加した「Manufacturing Japan Summit(主催:マーカスエバンズ)」が2017年2月15〜16日、東京都内で開催された。その講演でパナソニックエコソリューションズ社技術本部主幹の中谷光男氏が登壇。「可能性を広げる3次元化の実現に向けて」をテーマに、デジタルモノづくりの可能性について語った。
パナソニックは、従業員数は約25万人、2015年度の連結売上高は7兆5537億円に及ぶ日本を代表する家電メーカーである。中谷氏は同社でシェーバーやシステムキッチンの新製品設計・開発にこれまで取り組み、デジタルでのモノづくりによる製品開発の効率化を進めてきた。
こうした背景には、電器事業の製品特性から来る宿命がある。主に以下の6つの傾向があると中谷氏は説明する。
これらの条件を満たすために「それまで一年かかっていた開発のリードタイムを半減する目標を立て、デザイン性の見直し、3D CADによるシミュレーションの完成度の向上などに手を付けた」と中谷氏は述べる。デザイン決定スピードのアップ、設計完成度向上などに取り組んだ。同社では、金型の製造、デザイン設計、さらにポスターやカタログ、CMの製作などを行うマーケティング部門なども内包していたこともあり、取り組みは比較的円滑に進んだという。
シェーバー設計での具体的な取り組みをまとめると3Dデータの製品開発プロセス全体での幅広い活用がある。
それはCGを駆使した仮想検証による企画デザインの早期決定、解析、デジタルモックアップなど、仮想試作検証で設計完成度の向上である。特に金型設計者が製品設計者と一体となり設計データに金型要件を盛り込むことにより、金型修正の未然防止と金型製作時間の短縮を実現した。販促、サービスにも設計3Dデータを活用し、準備期間の前倒し実施などに及ぶ。また、種々多様な製品群で一貫した開発体制(プロセス、システム、組織)を展開し、デザイン〜設計〜金型をつなぐ3Dコンカレント支援機能を体制化している。
この結果「開発時間の短縮について現在は目標の半減を達成した」(中谷氏)。設計完成度も向上した。具体的には、出図後の金型修正件数を50%低減することに成功したという。さらに、3Dデータ活用による合理化への貢献、新しい内作付加価値の創造にもつながっているという。販促CGや外観データの作成、金型修正費用が年間3億円の削減を実現した。
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