指示するときの伝え方も非常に重要です。組織やチームの目的・目標をしっかりと伝え、さらに、その目標を果たすために網羅的に考えられた解決策から最も有効なアクションを行ってもらうんだ、と理解してもらうことが必要です。「あなたに任された業務はただの想いつきのアクションではなく、チームを支え、さらには全社が目指す目標を達成するために重要な役割を担っている」と、業務の価値をしっかりと伝えてあげること。それがメンバーの「やる気スイッチ」をONにすることにつながります。
だからこそ、指示内容は論理的に組み立てられている必要があります。
メンバーが頑張って行動した後は、しっかりフィードバックを行えると今後のモチベーションや成長につながります。指示された方は、自身の業務がどのように好影響を及ぼすことができたのか、気になるものです。指示するときは温度高めにコミュニケーションをとりながら、いざ進めていくとその後の進ちょく確認がなかったり、結果に対するフィードバックが不足してしまうと、「意味がなかったのかな」と次のアクションへのモチベーションが低下しかねません。
これまで、マネージャーの立場から部下に対してどう行動するかについて書いてきましたが、もちろん、“部下”の立場で自分のマネージャーを思い浮かべながら読んでくださっている方も多いと思います。多くのマネージャーの上にだって上司が存在します。
そこで、“部下”としての皆さんにお伝えします。
マネージャーの“あるべき姿”と実際の上司を比べ、「うちの上司は何もできていない。目標達成できないのはアイツのせいだ!」と考えないでください。あくまで、試合でボールを持ち、追いかけているのは選手。試合に負けて選手が監督を責めるのはお門違いです。
もちろん、マネージャーとしての能力や人間的な総合力において物足りなさを感じるマネージャーもいるのは私も十分理解しています。しかし、その現実も含めて、目の前の問題解決を行わねばならないのはメンバーも同じです。部下だろうと上司だろうと、目標達成に向けて持つ役割が異なるだけで、それに向けて自身ができることをやっていくしかないのです。
上司に対する誠実なフィードバックも、部下の立派な役割です。「指示に納得できない、もっとこうした方がいい」、そう思ったら事実ベースの定量的要素を示し、論理的に提言すればいいのです。どれだけ素晴らしい提言をしても、潰されてしまうこともあるかもしれません。それでもいいのです。何もアクションを起こさず、深夜の居酒屋で愚痴ってばかりでは何も始まりません。
この「当事者意識」や、「他責」の反対の「自責」は、マネジメントにおいて非常に大切な考え方です。それが“自分だけ”を見つめるのではなく、“他者のために動く”ことにも、つながるからです。次回はそれらについて、お伝えします。
通信機器、情報機器メーカーより株式会社VSNに転職。VSNに入社後はエレクトロニクスエンジニアとして半導体のデジタル回路設計やカメラ用SDK開発業務に携わる。
2013年より“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」を推進するメンバー「バリューチェーン・イノベーター・プロフェッショナル」に抜擢。ビジネス・ブレークスルー大学・大学院の教授である斎藤顕一氏より問題解決手法の教示を受け、いくつもの問題解決事案に携わる。
現在はVIエキスパートとして、よりハイレベルなコンサルティングサービスを提供する他、社員の育成プログラムの構築〜実施を行う。
株式会社VSN http://www.vsn.co.jp/
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