あなたの組織、ちゃんと回ってますか――。コンサルタントとして仕事の進め方や組織の改革提案を行ってきた筆者が語る、「マネジメントとは課題解決」。“組織を変えたい!”と悩む若手マネージャーの皆さんに向け、マネージャーとして大切にしたい課題解決視点をお伝えします。
人材不足が叫ばれて久しい日本。企業が最も困っているのが「リーダー不足」です。特に団塊世代の退職後は、若いうちからマネジメントを任される人が多くなってきました。その中には、本人がとても大きな熱意を持って「マネジメントをしたいんです!」と直談判して昇格した人ばかりではなく、消去法的にその枠に入った、という人もいるでしょう。
「何で俺が?」――そう思っている人もいるかもしれません。イマイチ自信を持ちきれなかったり、指示を出すことに躊躇(ちゅうちょ)することもあるでしょう。けれどそこには必ず理由があるのです。
それは「素直さ」なのではないかと私は思います。今はまだ知識やスキル、経験が不足しているとしても、「素直さ」という資質を大切にさまざまなことを吸収すればあっという間に組織にとって重要な存在になっていくはずです。本連載では「未来のリーダー」の皆さんに、マネジメントにおける大切にしたい心持ちや視点をお伝えしたいと思います。
私は駆け出しのコンサルタントとしてさまざまな企業の課題に向き合ってきましたが、そこで感じるのは「マネジメントとは課題解決である」ということです。ともに重要なのは「論理的思考」と「人間力」。根本は同じなのです。
私が「MONOist」で担当した過去の連載では「問題解決」の重要性を語ってきましたが、マネージャーの皆さんが解決したい問題はコンサルタントのように「経営の核心」を動かすようなものではなく、自身が所属する部署や参画するプロジェクトに存在するはずです。
たとえ小さな組織やプロジェクトでも、「上司も部下も、なかなか変わらない」と嘆く方が多いのではないでしょうか。実は、「チーム」や「課」など、組織の中の小さな単位になるほど、課題解決は難しくなるものなのです。
近年、日本でも「KGI」や「KPI」という欧米的なマネジメントを導入し始めています。全社目標をみんなで追うようなものではなく、戦略や目標は部門ごとに細かく構造分解されています。すると「部」や「課」のミッションが明確になる一方、縦割り組織となって自身が持つ権限も限定されがちです。
社長や取締役、執行役員や本部長あたりになれば人事や制度改正に関するさまざまな権限を持ち、“鶴の一声”で改革を行うことができるかもしれません。しかし、下部組織であればあるほどルールや制度などの制約条件に縛られ、その中で可能な課題解決しか行えなくなります。
例えば「製品の契約数を増やす」というミッションがあったときに、「製品価格を下げる」「新たな広告宣伝施策を打つ」という解決策を実行できる権限を持ったマネージャーは多くありません。そのほとんどが、「新たな営業ツールを作成する」「チーム内の“報連相”を強化する」といった解決策でなんとか組織を変えようと頑張ります。
皆さんの立場での課題解決が最も難しいというのはこういうことです。根本から変えられる社長の方が、ずっと課題解決は楽かもしれません(そんなことを言ったら全国の社長に怒られそうですが……)。だから自信を持って、成長のためにチャレンジし続けてください。
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