コンサルタントとして仕事の進め方や組織の改革提案を行ってきた筆者が語る“マネジメント力による課題解決”。今回はマネージャーがやってしまいがちな「勘違いマネジメント」についてお話しします。
前回、マネージャーの仕事で最も重要なのは「目標達成のためのアクション策定」だとお伝えしました。そのためにはチーム固有の問題をしっかり見極めることからスタートします。その問題に対して具体的なアクションを策定していくのですが、この「具体的なアクション」がポイント。チームをマネジメントする際にマネージャーが陥りがちな「勘違い」「罠(わな)」についてお話ししたいと思います。
あなたは、今のチームの目標達成を阻害している要因を言えますか?
「社内の契約システムが効率的じゃない」「マーケティングのノウハウがない」――。これらの要因ももちろんあるでしょう。ただ、解決するためには少し時間が必要そうですね。今シーズンの勝負を勝ち抜く話と、来期以降に勝利を重ねるための話は別物です。今シーズン、いかにして勝ち星を取っていくか。そのためには今置かれている環境の中で具体的な戦略を描かねばなりません。その具体的な戦略がどう成果に結びついていくかというのは、やってみないと分からない。ここで登場するのが「PDCA」です。
組織を運営する上で重要視されることの多い「PDCA」。「Plan・Do・Check・Action」と説明するまでもないと思いますが、この「PDCA」を上手に回すことのできる組織は、おそらく高いパフォーマンスを出している組織でしょう。
ここで重要なのは「Plan」をする上で、問題を仮説でいいから特定することです。この「問題」が分かっていないと、間違ったKPIやアクションで組織を管理してしまうことにつながります。
仮説を立てた上で、それを解決するためのアクションを立てる、これが「Plan」。それをやった(「Do」)上で、どんな結果が数値としてでるか「Check」する。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、これができていないマネージャーが意外と多く存在します。
例えば、39度の熱を出しているとしましょう。誰の目からしても体調不良なのは明らかです。この体温を、平熱である36度まで下げたい。「PDCA」を理解していないマネージャーはこう言います。
「3年で36度まで戻そうか。1年に1度ずつ下げよう。まずは具体的な計画出してみて」
そしてその計画を確認すると、「この計画で体温下がる理由は? それを証明する根拠は何なの?」。さらに1カ月後には「計画通りできた? できなかった理由は? 次は何するの?」――。
読むだけで気が滅入りそうですが、このマネージャーが行っているのは「PDCA」ではなく、「CCCC」です。
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