日本アルテラは、FPGAでOpenCLを扱うためのソフトウェア開発環境「Intel FPGA SDK for OpenCL」の最新バージョン「17.1」について説明。従来のコマンドラインベースのツールから、GUIを用いた統合開発環境となるとともに、新たに高速のエミュレータとコンパイラが加わった。
日本アルテラは2018年1月22日、東京都内で会見を開き、2017年11月にインテル(Intel)がリリースしたFPGAでOpenCLを扱うためのソフトウェア開発環境「Intel FPGA SDK for OpenCL」の最新バージョン「17.1」について説明した。従来のコマンドラインベースのツールから、GUIを用いたIDE(統合開発環境)となるとともに、新たに高速のエミュレータとコンパイラが加わったことが特徴。さらに「17.0までは有償だったが、17.1からは無償になる」(日本アルテラ)という。
2016年1月にFPGAベンダーのアルテラ(Altera)を買収したインテルは、同社が目指すデータカンパニーに向けた取り組みの中で今後広く求められるであろう「ヘテロジニアスコンピューティング」において、FPGAが重要な役割を果たすとみている。インテル米国本社 プログラマブル・ソリューションズ事業本部 FPGAソフトウェア・ソリューション担当シニア・ディレクターのバンハード・フリーベ(Bernhard Friebe)氏は「ヘテロジニアスコンピューティングでは、インテルが得意とするCPUの他、専用アクセラレーターとなるASIC/ASSP、汎用アクセラレーターであるFPGAが混在することになる。特にFPGAは、ハードウェアアクセラレータでありながら再プログラミングが可能なため、ソフトウェアのように扱えることが大きな特徴になっている」と説明する。
とはいえ、FPGAをプログラミングするにはVerilogやVHDLなどのHDL(ハードウェア記述言語)に関する知識が必要になる。CやC++を扱う一般的なソフトウェア技術者にとって、HDLの習得はハードルが高いといわれおり、FPGAを扱いづらくする一因になっていた。この問題を解決するためにアルテラが早期から取り組んで来たのが、FPGAでOpenCLを活用するための標準化活動だ。
OpenCLは、ヘテロジニアスコンピューティングを扱うために、クロノス・グループ(Khronos Group)が標準化を進めているフレームワークである。アルテラは2010年にクロノス・グループに参加し、2012年にOpenCL向けソフトウェア開発キット(SDK)を発表するなどOpenCL関連の活動に注力してきた。「競合ベンダーに対して2年間のアドバンテージがある」(フリーベ氏)という。
今回発表した「Intel FPGA SDK for OpenCL 17.1」は、これまで別々だったインテルとアルテラ両者のOpenCL対応ソフトウェア開発環境を統合したものとなる。インテル側で提供してきたGUIベースのIDEを基にして、アルテラ側でサポートしてきたOpenCLによるFPGAのプログラミングが可能になった。OpenCLでは、CPU側に「OpneCL Host Software」、FPGA側に「OpenCL Kernel」を組み込む必要がある。Intel FPGA SDK for OpenCL 17.1では、これらを1つのIDE上で、C++によるプログラミングで扱うことが可能だ。
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