2016年の組織創設以来、デジタルヘルス庁は、以下のような製品/サービスを提供している。
これらのうち「My Health Record」は、患者本人が自らの生涯にわたる医療等の情報を経年的に把握できる仕組み、すなわち「パーソナル・ヘルス・レコード(PHR:Personal Health Record)」(関連情報)のオーストラリア版で、本人の意思に基づく同意を前提とするオプトイン方式を採用している。
図3は、デジタルヘルス庁が公表した、2018年1月7日時点での「My Health Record」の登録状況である(関連情報)。オーストラリア全土で、545万7903人の消費者と1万646の医療機関が登録している。
年齢層構成別の消費者登録状況をみると、19歳以下が36%であるのに対し、65歳以上が14%となっており、シニア層の登録率をどう上げるかが課題になっていることが分かる。また、州/地域別の登録状況をみると、オーストラリアの全人口に占める登録者比率22%に対し、最も高いのがクイーンズランド州(29%)、最も低いのがビクトリア州(17%)で、地域差が存在している。My Health RecordのようなPHRを活用したデジタルヘルス関連サービスを実現するためには、登録率が低い層を魅了してエンゲージメントを上げるイノベーションが不可欠だ。
医療機関の登録状況についてみると、一般医(かかりつけ医)が6294で最も多く、その他医療機関(医師と看護師以外の医療関連職含む)が1446、小売薬局が1439と続いている。国土が広大なオーストラリアでは、大規模病院が都市部に集中する一方、小規模の診療所や薬局が地域に点在するケースが多いので、ブロードバンド/モバイルネットワークなど、デジタルヘルス基盤の普及/維持管理状況がMy Health Recordを介した地域医療/介護連携に大きく関わってくることになる。加えて、広大なネットワーク環境下では、院外のセキュリティ/プライバシー対策をどう向上させるかも課題になる。
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