中身がないという意味では“張り子の虎”ですが、信じていた基礎が空疎だったという意味では“砂上の楼閣”でもあります。
「日本が誇るモノづくり力」。製造業関連で取材をしていると何度も出てくる言葉です。高い品質とコスト競争力、納期厳守の開発スピードなどなど……。そのモノづくり力は、さらにさまざまな言葉で彩られています。
しかし「日本が誇るモノづくり力」は本当に誇れるものだったのか、という疑念を抱かせる事態が連続して起きています。2016年は三菱自動車とスズキの燃費計測の不正、2017年は日産自動車とスバル、神戸製鋼が製品検査の不正を行っていたことが発覚しました。さらに、2017年11月23日、三菱マテリアルも検査不正を公表しています。
いずれも長年「現場」で行われてきた慣習が表面化したものとしており、経営陣は今後改善する方針を示しています。しかし「日本が誇るモノづくり力」の源泉は常に「現場」にあるといわれてきました。その「現場」を舞台に、不正が常態化してきたわけですから、「日本が誇るモノづくり力」は実際には“張り子の虎”だったのかもしれません。
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