村田製作所、アルプス電気と並んで大手電子部品メーカーとされるTDKも「IoTソリューション」の展示を行った。
半導体前工程への適用事例で、各プロセスでさまざまな処理が施されるウエハーを収めておくFOUPケースに、湿度センサー、加速度センサー、無線通信回路、ワイヤレス充電回路などを集積したモジュールを組み込んでいる。
FOUPケースは、半導体前工程の各プロセス間でウエハーを移動させる際に用いられており、ケース内は窒素ガスで満たされている。ただし、単に不活性の窒素ガスで満たせばよいわけではなく、FOUPケース内での湿度が歩留まりに大きく関係してくる。
今回展示したFOUPケースを使えば、プロセス間を移動するFOUPケース内の湿度を常時モニタリングできる。もし湿度に問題があれば、各装置にウエハーを送り込むロードポートに設置した際に、窒素の流量を制御することで湿度を適正値に調節する。この他、FOUPケースに加わった衝撃なども加速度センサーによって検知可能だ。もちろん、センシングデータの送信、電力供給ともワイヤレスで行えるので、FOUPケースの密閉は保たれる。
「今回の展示では湿度センサーは当社製ではない。だが、部品単位で売り込むだけではなく、顧客の課題を解決するトータルソリューション提案が重要だと考えている」(TDKの説明員)。
ロームは、子会社であるラピスセミコンダクタが展開するIoTのレファレンスデザイン「Lazurite」をアピールした。Lazuriteの活用事例のうち最も大きな動展示は、ロームブース内ではなく、協業先の富士通ブースで展開されていた「Windhack」だ。
Windhackは、Lazuriteをベースに、加速度、ジャイロ、地磁気、気圧などのセンサーやBluetooth Low Energy、マイクロSDカード、GPSモジュールを搭載したセンサーノードだ。位置情報を取得しながらウインドサーフィンのセール、ボード、体の動きをマイクロSDカードに記録し、ウインドサーフィンの技術力向上につなげるもので、日本ウインドサーフィン協会、富士通との協業による成果だ。
Windhackはマストに装着した透明のボトルの中に入っており、セール(帆)の角度、位置情報や進行方向、時刻情報がマイクロSDカードに記録される。これらのデータを後から解析すれば、姿勢情報や方位情報などを算出することができる。Bluetooth Low Energyを使ってリアルタイムにデータを送信することもできる。また、親機と2つの子機をサブGHz無線通信で連携させる「Windhack Pro」も開発している。
「Windhackの事例は、ウインドサーフィンにとどまらないスポーツ分野でのIoT活用の先鞭になる」(ラピスセミコンダクタの説明員)としている。
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