アマダホールディングスは、「CEATEC JAPAN 2017」に初出展。IoTを活用して、モノづくりの品質を高める「V-factory」を紹介した。
アマダホールディングスは、「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、千葉県・幕張メッセ)に初めて出展。同社が提案し2018年1月からサービスを開始するIoT(モノのインターネット)を活用したモノづくりサービス「V-factory」を中心に、モノづくり現場品質向上の価値を訴えた。
アマダホールディングスは板金加工機械の大手メーカーである。同社は全世界11万社に27万台以上の板金加工機などの導入を行っているが、新たに2017年10月からモニター試験を開始するのがIoTを活用したサポートサービス「V-factory」である。2018年1月の本サービス開始に向けて、現在アピールを進めているところだという。
CEATEC JAPANに初出展したのも、この新たなIoTサービスを展開することが大きな要因になったという。アマダホールディングス 代表取締役社長 磯部任氏は「CEATEC JAPANがB2CからB2Bに舵を切るという流れの中で、スマートファクトリーなどに大きな焦点が当たるようになった。こういう中で、従来の顧客企業と異なる人々にアピールすることで、モノづくり現場の価値をあらためて訴えるとともに、新たなパートナーやサービス連携などもできると考えた」と述べている。
「V-factory」は、アマダが提供する機器や金型、ソフトウェアの情報を、独自の通信ゲートウェイ「V-factory Connecting Box」を通じて収集し、稼働監視や見える化などを実現することで、価値を生み出すサービスである。「つながる機器」によりユーザー企業が工場内で独自で「見える化」を実現することも可能である一方で、情報をアマダ側に提供することで新たな価値の実現などにもつなげられる。
具体的には、独自のスタッフを配備した「IoT サポートセンター」を通じ、稼働情報を監視しながら異常発生時にユーザーに問い合わせをするなど「生産を止めない支援サービス」を行う。加えて、有事のバックアップサポートや、ビッグデータ分析による生産効率の向上の提案まで広げていく方針である。マシントラブルが発生した際には、リモート接続による遠隔診断や遠隔復旧なども可能だ。機器に直接遠隔地から接続し、トラブル状況を診断し、交換が必要な部品の特定と手配、さらにはサービススタッフの手配なども行う。ITシステムについては、富士通やセールスフォース・ドットコムと協業して実現した。
ユーザーによっては工場内の機器の情報を出したがらない場合もあるが、磯部氏は「全てのユーザーがつながろうと思えば、つながれる状況にはなっているが、実際にアマダに対してデータを出したいというユーザーは限られると考えている。当面は3〜4割がアマダに情報提供をしてくれるという形に持っていきたい」と述べている。
アマダではもともと、2次元図面の3次元表示など、熟練技術者の技能を機械の進化で再現し、技術者の支援を進めるような取り組みを進めてきていた。工場機器のネットワーク化や稼働監視についても1990年代から取り組んでおり、ある意味でIoTおよびスマートファクトリーの先行企業ともいえる。
磯部氏は「板金加工機は高額製品であるが、特に中小製造業などでは稼働率がそれほど高くない場合などがある。その場合、調整だったり、図面の整理だったり、外段取りに時間のかかっていたケースなどが多かった。アマダではこれらを低減し、できる限り機器の稼働時間を伸ばす取り組みを進めてきた。その取り組みの一環として、IoTの活用もある」と述べている。
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