ウインドリバーは、組み込みOS「VxWorks」の新機能となるリアルタイム分析エンジン「AXON Predict Analytics」を発表。2017年8月末に正式リリースするVxWorksの新バージョンのオプションとして提供する。
ウインドリバーは2017年8月28日、東京都内で会見を開き、組み込みOS「VxWorks」の新機能となるリアルタイム分析エンジン「AXON Predict Analytics(以下、AXON)」について説明した。同年8月末に正式リリースするVxWorksの新バージョンのオプションとして提供する予定である。
VxWorksは、航空宇宙/防衛、通信機器、産業機器、自動車などの分野で約20億台のデバイスに組み込まれているリアルタイムOSだ。米国本社 OS事業部 マーケティング担当ジェネラルマネージャーのミシェル・ジェナール(Michel Genard)氏は「これからの時代、デバイスの価値はハードウェアだけでなくソフトウェアによっても定義されるようになる。このソフトウェアが定義する(Software Defined)未来は、3段階のステップで進んでいく。つながっていないものがつながって、つながったものがインテリジェントになり、そしてソフトウェアで定義される自動化の世界へ進んでいく。今回発表するAXONは、つながったものをインテリジェントにする第2段階を実現するソリューションだ」と語る。
AXONの開発の背景にあったのは、IoT(モノのインターネット)から生成される莫大なデータの存在だ。2020年の1日当たりのデータトラフィックは、自動運転車から4000GB、スマートファクトリーから100万GB生成されると予測されている。「これらのビッグデータを全てクラウドなどに送って処理することは難しい。デバイス側でのエッジコンピューティングによる分析が必ず必要になる」(ジェナール氏)という。
AXONは、VxWorks上で動作するリアルタイムの組み込み分析エンジンである。AXONやVxWorksを組み込んだデバイスからの各種情報は、通信接続したPCなどに構築したWebサーバを経由しブラウザで可視化することができる。また、分析の対象となるセンサーデータやパラメータ、範囲はブラウザ上で選択するなどして設定できる。詳細な定義を行う場合にはJavaを利用することも可能だ。ジェナール氏は「これまでVxWroksではJavaを扱えなかったが、新バージョンから対応する」と説明する。また仮想化技術を用いれば、VxWorksとAXONの組み合わせによる分析機能を、他のOSをベースとするアプリケーションと同時に利用することもできる。
主な用途として想定しているのは、産業機器分野における予防保全や自己修復、安全、セキュリティなどだ。「AXONによる分析結果に機械学習を適用すれば、3段階目となるソフトウェアで定義される自動化の世界が見えてくる。まずは、デバイスに分析エンジンを組み込むところから始めてほしい」(ジェナール氏)としている。
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