組み込みOS「VxWorks」で知られる米Wind Riverだが、近年ではIoTに向けた製品とサービスの拡張を進めている。つながる時代となっても、強みはやはり「デバイスを知ること」だという。
航空宇宙などミッションクリティカル用途で実績を持つ組み込みOS「VxWorks」「Wind River Linux」で知られる米Wind Riverだが、近年ではIoT(Internet of Things、モノのインターネット)に向けた“つながる”製品/サービスの展開に注力している。
2015年冬にはクラウド環境(SaaS)「Wind River Helix Cloud」とクラウド対応OS「Wind River Rocket」「Wind River Pulsar Linux」の無償提供を発表しており、ポートフォリオの拡大を急ピッチで進めている。その同社でIoT事業を率いるSanthosh Nair氏(Vice President & General Manager, IoT Cloud Solutions)が来日、自社の強みについて説明した。
Wind River Helix Cloudはクラウド開発環境「Wind River Helix App Cloud」、デプロイ前のシミュレーションとテストを行う仮想環境「Wind River Helix Lab」、デプロイ済みのエッジデバイス(IoTデバイス)とそのデータを管理する「Wind River Helix Device Cloud」で構成される。
何らかのデバイスが接続されることを前提とした「IoTプラットフォーム」自体は既に複数登場しているが、Nair氏は「競合が存在することは、その市場性が豊かなものであると認識されていることだ」と競合の存在を脅威と捉えず、IoT市場の発展性として認識する。ただそれでもライバルが多いことには変わりなく、そうした環境下でNair氏が自社の強みとして挙げたのは、「デバイスに関する知見」だ。
「Wind Riverは30年以上に渡って組み込み機器に関する事業を展開しており、私たちの製品は20億以上の機器に搭載されている。IoTにおけるエッジデバイスをよく知っており、それは強みといえる」(Nair氏)
エンドデバイスとその管理を行う「Wind River Helix Device Cloud」については2016年8月に新バージョンへと刷新され、「よりセキュアになり、使い勝手も向上している」とNair氏はその特徴を述べており、ゲートウェイ管理や機器の予防保全、医療機器の診断監視などの用途へ適用可能だという。
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