2020年にはエンドデバイスの数が300億個にも達すると言われるIoT(Internet of Things)時代が本格化する中、組み込みエンジニアはどのような考え方で開発にあたるべきか。ウインドリバーのフェローが念頭に置くべき10のポイントを挙げた。
「もっと世界はスマートにならなくてはいけない」――2020年にはエンドデバイスの数が300億個にも達するとされるも言われるIoT(Internet of Things)の時代が本格的に到来しようとする中、組み込みエンジニアはどのような考え方で開発にあたるべきか。
ウインドリバーは2015年2月27日、技術セミナー「Wind River Technical Forum 2015」を開催、来日した同社フェローのマーティン・コーニング氏が「IoT時代における組込みソフトウェア開発の新潮流とウインドリバーの技術戦略」と題した講演を行った。
コーニング氏は世界的な人口増加や電力消費量の増大、自然資源の減少などといった現在の社会問題を挙げ、その解決のために「もっと世界はスマートにならなくてはいけない」と主張する。コーニング氏の言う“Smart”は「賢明な」ひいては「効率的な」といったニュアンスであり、その具体化のためにIoTの導入が叫ばれ、実際に行われようとしているが、「現在のIoTは非常に混乱しているように感じる」と現状を分析する。
その混乱を解決するために同社が取ったアプローチが、テクノロジーを単純に一方向へ強化していくのではなく、テクノロジーに対してのとらえ方を再考することだ。同社はエンジニアをスタンフォード大学へ送り、テクノロジーに対してデザイン面から考察し、「どのような指針を持てば、価値のあるIoTを提供できるのか」を10のポイントにまとめた。
コーニング氏によれば、必ずしも上記の要件全てを満たす必要はなく、これらを念頭に置きながらIoTの機器とサービスを開発するべきというもので、「クラウド接続機能を持ったIoTコンタクトレンズ」を例にして、IoT時代の開発に必要なのは、機器の処理能力やネットワーク帯域幅といったスペックから要件定義をすることではなく、「どのような要件を満たせば利用者にとって価値ある存在になるか」を明確にすることが大切だと述べた。
開発する製品を“利用者にとって価値ある存在とする”際に取るべき手段の1つとしてコーリング氏が言及したのが、同社のIoT向け包括的ソリューション「Wind River Helix(以下、Helix)」だ。
Helixは同社のエンドデバイス向けOS(VxWorks、Wind River Linux)やクラウドサーバ(Titanium Server)、クラウド型テクノロジスタック(「Wind River Edge Management System」)などを組み合わせたIoTソリューションの総称。その導入により、エッジデバイスのセキュア化や運用管理、ゲートウェイ、ネットワーク、クラウドとの連携まで、IoTのさまざまな領域と需要、デバイスに対応できるとしている。
「世界中の全てはもっとスマートにならなくてはならない。だが、その“全て”には私たちも含まれている。私たちはセンサーであり、アクチュエーターでもあるのだ」。コーニング氏はスマート化による問題解決を狙うIoT時代の組み込み開発において、開発者が当事者意識を持つことが、シンプルかつ、大切な考えかだだと強調した。
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