第4次産業革命が生みだす「つながる産業」、3つのWGが目指すもの(後編)製造業IoT(1/3 ページ)

ロボット革命イニシアティブ協議会は2017年6月に3つのワーキンググループの活動報告と2017年度の取り組み方針について紹介した。本稿では「ロボット利活用推進WG」と「ロボットイノベーションWG」の活動について紹介する。

» 2017年07月25日 10時00分 公開
[三島一孝MONOist]

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 ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は2017年6月19日、都内で3つのワーキンググループ(WG)の活動報告会を開催した。前編では「IoTによる製造ビジネス変革WG」の活動および、2017年6月29日に開催された同WGのサブWGの活動について紹介したが、今回は「ロボット利活用推進WG(WG2)」と「ロボットイノベーションWG(WG3)」の活動を紹介する。

ロボット活用の裾野を広げる活動

 「ロボット利活用推進WG(WG2)」はロボットの社会実装拡大を目指したWGで、実現を阻む障壁を順次取り除いていくことを目標としている。2015年の創設時から「マッチング活動」グループ、「ロボット事業支援機関の創設」グループ、「ロボット活用の裾野拡大」グループ、「ロボットの普及を促す環境整備」グループ、「情報の非対称性の解消、認識の共有化」グループの5つのグループで、活動を推めてきた。WG2のメンバーは2017年5月時点で企業が58社、各種団体や工業会が12団体、研究機関や学会が1機関、学識者が7人、地方自治体が6自治体となっており、合計84会員が所属しているという。

ロボットのユーザーとSIヤーをつなぐ「マッチング活動」

 「マッチング活動」グループは、各事業分野におけるロボットの活用を期待する事業者の要望を、サプライヤーにつなぐ仕組みを具体化することを目指している。具体的には、以下の5つの取り組みを進めている。

  1. ロボットSIヤー(システムインテグレーター)のデータベース作成と公開
  2. 「SIヤースキル標準シート」の策定
  3. 「SIヤープロセス標準」の検討
  4. SIヤーの技能検定制度や資格の検討
  5. コーディネーターやアドバイザーの調査

 ロボットは従来は工場内での活用が進んでおり、これらを導入するインテグレーターもFAインテグレーターなどに限られていた。しかし「ロボット新戦略」により、ロボットの活用領域を拡大する取り組みが進む中、新たにロボットを活用したいという企業が登場しても、インテグレーションをするのにどこに何を頼めばよいのか分からないという状況が発生している。その負担を軽減するために、ユーザー企業が必要なシステムインテグレーターにロボットの導入を依頼しやすい環境を作る取り組みが「マッチング活動」である。

photo RRI WG2の「マッチング活動」グループの取り組み全体像(クリックで拡大)出典:RRI

 取り組みの1つとして、形となったのが「ロボット活用ナビ」である。これは「マッチング活動」グループにおいて2015年度に検討した掲載情報や検索視点に基づき、ロボットSIヤーのデータベース(約130社)をリストアップして掲載し、検索できるようにしたもの。導入実証事例なども加えて掲載しており、ユーザー目線でロボットの活用をイメージでき、導入の一歩を容易に踏み出せる仕組みを作った。

photo ロボット活用ナビ(クリックでWebサイトへ)出典:日本ロボット工業会

 さらにSIヤーがどの技術に優れており、どういう領域が得意かということが一目で分かるようにロボットSIヤーに共通して求められるスキル項目を抽出し、それぞれの項目についてレベルを設定した「SIヤースキル標準シート」を作成した。技術12区分、スキル59項目を7段階のマトリクス形式にまとめており、ユーザー側がSIヤーのスキルを簡単に理解できる。一方でSIヤー側は自社が足りない技術やスキル領域などを把握でき、新たな成長につなげることが可能となる。

 SIヤーがロボットシステムを構築する手順を最適化する工程管理標準を示す「SIプロセス標準」なども用意している。「ロボットシステムインテグレーション導入プロセス標準(RIPS)」として取りまとめ、公開を進めている。作業工程の作成ドキュメントを標準化することで、作業の見える化などを実現し、顧客との合意形成や分割検収などを可能とする。

photophoto 「SIヤースキル標準シート」のサンプル(左)とRIPSドキュメントマップのイメージ(右)(クリックで拡大)出典:RRI

 その他、SIヤーのスキル向上などの仕組みとして、技能検定制度や資格の状況把握や、コーディネーターやアドバイザーの研修や認定制度の調査などを行っている。

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