第4次産業革命が生みだす「つながる産業」、3つのWGが目指すもの(後編)製造業IoT(2/3 ページ)

» 2017年07月25日 10時00分 公開
[三島一孝MONOist]

事業支援機関の創設と裾野拡大

 「事業支援機関の創設」グループでは、教育機関と企業との連携やNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のロボットサービスビジネススクール講座、ロジスティクス・MH管理士講座などの事例を調査した。また、都道府県レベルでの事業支援機関創設に向け、中小企業支援施策との連携方法の模索にもと取り組む。各都道府県に設置された「よろず支援拠点」を相談窓口として、中小企業の相談者へロボット導入に関する専門家のリストを作成し、活用する体制構築などを検討している。

photo 「よろず支援拠点」の活用と都道府県との連携(クリックで拡大)出典:RRI

 合わせて「裾野拡大」グループの取り組みでも「よろず支援拠点」の活用を検討する。ロボットや自動化について相談対応が可能な専門家の「ミラサポ」への登録促進を進めるとともに、ミラサポ専門家派遣事業を活用したロボット関連の相談対応事例を作り上げる。さらに、ロボット導入をコーディネートする企業OB人材の探索を継続して行い、相談窓口となる「よろず支援拠点」に共有する専門家リストの作成作業を開始した。

ロボットの普及を促す環境整備

 「ロボットの普及を促す環境整備」グループでは、協働ロボットの普及に向けた環境をどう構築すべきかという議論や認識の共有を進めた。協働ロボットとは、人と同じ空間で働くことが可能なロボットのことだ。従来は、一定出力以下でなければ人と同じ環境で作業することはできなかったが、規制緩和により十分な安全対策機能を備えていれば、人と同じ空間を共有しながら作業を行うことが可能となった。

 適用分野として期待されているのが製造業、商業施設、介護、建設の4分野である。これらの領域に合わせて検討を行い、普及に向けた支援方策と普及を促すための環境整備について課題や要望を吸い上げた。

photo 協働ロボットの適用が進むと期待される領域(クリックで拡大)出典:RRI

情報の非対称性の解消、認識の共有化

 「情報の非対称性の解消、認識の共有化」グループでは、ロボット活用の啓もう活動により、認知拡大や投資マインドの醸成などに取り組んだ。2016年度にロボット導入実証事業を通じたベストプラクティス事例の収集に取り組み、事例紹介のハンドブックを発行。さらに、ロボット導入を検討している事業者に対し、ロボット導入の有効性、構築方法、相談先などの疑問や不安解消を図る目的でパンフレット「ロボット活用の基礎知識」なども発行している。

photo パンフレット「ロボット活用の基礎知識」を発行(クリックで拡大)出典:RRI

2017年度は3グループで活動

 2017年度は、2016年度まで5グループで実施してきた活動を再編し、「マッチング&事業支援機関」「人材育成」「環境整備」の3つのグループで取り組みを進める。「マッチング&事業支援機関」グループでは現在の取り組みを継続し、SIヤーのプロセス標準化やロボット活用ナビの運用、地域支援などに取り組む。「人材育成」グループでは、SIヤースキル標準や資格検定制度の策定、教育機関でのロボット教育拡大に向けた提案を進める。「環境整備」グループでは、ロボット技術の進化で必要になる規制改革の要望提案などを行うとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.