NTTコミュニケーションズがIoTの通信に適した低価格SIM「100円SIM」を発表。1カ月当たりの通信データ量が1MB以下であれば月額料金(税別)は100円で済む。同様のIoT向け通信サービスを提供するソラコムと遜色のない価格設定になっている。
NTTコミュニケーションズは2017年7月3日、IoT(モノのインターネット)の通信に適した低価格SIM「100円SIM」を発表した。SIMカードを組み込むIoTデバイス当たりの通信データ量が1カ月当たり1MB以下であれば月額料金(税別)は100円で済む。このため、見守りサービスや機器の遠隔監視などを営むIoTサービス事業者に最適だとしている。
100円SIMは、同社のセキュアな企業向けモバイルネットワークサービス「Arcstar Universal Oneモバイル グローバルM2M」のラインアップの1つになる。モバイル回線からインターネットを経由せずに、閉域網であるVPNの「Arcstar Universal One」に接続するので、機密性の高い企業データや個人情報の通信、重要な設備をつなぐ可能性が高いIoTの用途に適しているという。
また、同社のポータルサイトから、一元的にユーザー自身の手でSIMカードの利用、休止などの状態の切り替えができる他、データ通信量の確認や通信量が閾(しきい)値を超えた場合のアラート設定などによる利用状況の可視化が可能だ。これにより、多数のSIMカードを利用する場合の管理稼働コストの削減につなげられる。これらの機能はAPIでも提供するので、ユーザー企業のシステムとの連携によって管理の自動化も図れるとしている。
価格(全て税別)は、初期費用が500円(SIMカードの送料込み)、1回線当たりの月額料金がデータ通信開始前は0円(最大11カ月間)、データ通信開始後が100円(1カ月当たり1MB分のデータ利用料を含む)。ただし、1カ月当たりのデータ通信量が1MBを上回った場合には、1MB当たり100円の超過料金が必要だ。日本だけでなく、オーストラリア、中国、香港、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、サウジアラビア、シンガポール、台湾、タイ、トルコ、ベトナム、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、英国、カナダ、メキシコ、米国、南アフリカ、チュニジアという25の国と地域であれば、上記の料金で利用できる。NTTコミュニケーションズの現地法人と契約すれば、現地通貨決済にも対応する。
100円SIMは、NTTコミュニケーションズが提供する「Enterprise Cloud」やマイクロソフトの「Azure」、アマゾンの「AWS」などさまざまなクラウドサービスに接続できる。加えて、NTTコミュニケーションズのIoTプラットフォーム「Things Cloud」と組み合わせれば、機器やセンサーのデータ収集から、その閲覧や簡易分析に至るまでの環境をワンストップで構築できるとしている。
携帯電話通信網を利用したIoT向け通信サービスでは、ソラコムが広く知られている。NTTコミュニケーションズの100円SIMに対応する料金プランは、「SORACOM Air for セルラー」の「Low Data Volume」になるだろう(関連記事:ソラコムの新料金は従来比6分の1の月額50円!? LoRaWANの普及加速でも一手)。
Low Data Volumeの価格(税別)は、初期費用が5米ドル(SIMカードの送料は別)、データ通信開始前は0ドル(最大1年間)、データ通信開始後の基本料金が1カ月当たり0.4米ドル、データ通信料金が1MB当たり0.5米ドルとなっている。通信データ量が少なければ「月間の基本料金と通信料金の合計で50円程度に抑えることも可能」(ソラコム社長の玉川憲氏)としている。100円SIMと同じ1カ月のデータ通信量が1MBの場合は0.9米ドルであり、ほぼ100円と言っていいだろう。
価格面でソラコムに遜色のない100円SIMを投入することにより、NTTコミュニケーションズの既存顧客によるIoT関連の取り組みへの浸透が狙いになりそうだ。また、NTTグループという信頼性や、企業体力を利用した営業展開も可能だろう。
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