京セラ子会社の京セラコミュニケーションシステムはフランスのSIGFOXと提携し、同社のIoTネットワーク「SIGFOX」を独占的に日本で展開することを発表した。サービス開始は2017年2月。SIGFOXのIoTネットワークは年額100円以下という圧倒的な低コストが特徴で、多くのデバイスで低容量の通信を行う用途向けで提案を進める。
京セラ子会社でICT(情報通信技術)のシステムインテグレーションや携帯電話基地局の建設などを行う京セラコミュニケーションシステム(以下、KCCS)は2016年11月9日、フランスのSIGFOX(シグフォックス)と提携し、同社が提供するIoT(モノのインターネット)ネットワーク「SIGFOX」を日本で2017年2月から展開することを発表した。
IoTの活用は急速に拡大している。しかし、IoTを実現するネットワークとしては、データ量が小さいセンサーからデータを得るような用途では、通信料金が高すぎたり、通信のための消費電力がかかりすぎたりするなど、あらゆる機器がIoT化していくのに対し、大きな障害となっていた。こうした中で注目を集めているのが、無線通信として、低価格、省電力で広域をカバーできるLPWA(Low Power Wide Area)である。LPWAには、LoRa Allianceなどが展開する「LoRaWAN」や、3GPPなどが標準化を進める「NB-IoT」などが存在するが、その内の1つが「SIGFOX」ということになる。
「SIGFOX」はIoTに特化したネットワークで、データ通信能力はそれほど高くないものの、低価格、省電力、長距離伝送が可能である点が特徴である。既に欧米を中心に24カ国で展開、2018年までに60カ国に増加する予定だという。現在既に500億デバイスの情報の授受を行っており、カバー面積は200万平方キロメートルに達している。
SIGFOXの強みについて、SIGFOX SINGAPORE 社長でアジア太平洋地域担当のロズウェル・ウォルフ(Roswell Wolff)氏は「他のネットワークとは違い、数十億クラスのデバイスに対し小さなデータ通信を行うケースに特化しているのがSIGFOXの強みだ」と述べている。通信モジュールについても「3ドルを切る価格帯でモジュールを提供できるようになっている」(ウォルフ氏)。また、グローバルで同一ネットワークの活用が可能である点も特徴である。
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今回、SIGFOXの日本進出に当たって、KCCSが日本における独占的なネットワークパートナーとなり、日本での展開を進めていくことを決めた。KCCSを選んだ理由について、ウォルフ氏は「基本的には1カ国で1社の契約とすることで普及のスピードを上げてきたことがシグフォックスの特徴である。日本においてはKCCSと独占的な関係で展開を進める。グローバルのどこでも同じだが、パートナー企業については通信への知識、デバイスやエコシステムへの知識、他企業との連携の可能性という3つの条件を用意しており、これを満たす点からKCCSと協業することを決めた」と述べている。
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