ミスミは、「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」において、設備設計業務向けの無償の製造ITツール群「MISUMI Rapid Design」を紹介した。
ミスミは、「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」(2017年6月21〜23日、東京ビッグサイト)において、設備設計業務向けの無償の製造ITツール群「MISUMI Rapid Design(以下、Rapid Design)」を紹介した。
ミスミと言えば、FAや金型向けの部品などを扱う大手商社として知られている。機械や装置、設備、生産ラインなどの設計業務に関わる技術者が部品を選定する際になくてはならない存在といっていい。
Rapid Designは、商社のミスミが提供する無償の製造ITツール群だ。設計アイデアを網羅した機構事例集「inCAD Library」、寸法変更に合わせてCAD上で型番を自動生成する3D CADツール向けアドイン「inCAD Components」、設備の筺体の設計から部品発注までが可能な簡易CADツール「inCAD Frames」、設計に用いている部品の類似品を自動検索する「inCAD Exchange」、3D CADデータをアップロードするだけで特注品の見積もりと発注を行える「meviy」から構成されている。
これらのうち、inCAD Libraryとmeviyは既に正式サービスを開始している。一方、3D CADツールとのデータ連携が重要なinCAD ComponentsとinCAD Exchange、独自のCADツールとなるinCAD Framesについては、現在βテスト中で、順次正式サービスを開始する予定だ。「当社は、顧客に部品を届ける商社として設備設計業務の下流を担ってきた。今後は、無償のRapid Designを提供することで設備設計業務の上流から顧客との関わりを深めていきたい」(同社の説明員)という。
ここからは、間もなく正式サービスが始まる、inCAD ComponentsとinCAD Frames、inCAD Exchangeの機能について簡単に紹介しよう。
従来の設備設計業務では、使用する部品の仕様や型番を決めてから、WebサイトなどからCADデータを入手し、3D CADツールにインポートするのが一般的だ。しかし、設計変更によって部品を変える場合には、再度仕様や型番を決めるところから作業をやり直す必要があった。inCAD Componentsは、仕様決め、型番決定、CADデータのインポートを全て自動で行ってくれるアドインとなる。
アルミフレームなどを使って設計する設備筺体は、構造が単純ではあるものの、部品の選定、配置、拘束などに手間が掛かる。inCAD Framesは、設備筺体の設計に特化した3D CADツールで、自身がイメージする形状にフレームを配置すれば、自動締結や補強部品の配置、型番決定などを自動で行ってくれる。必要な部品の発注も可能だ。
設備設計業務では、コスト削減や軽量化といった要求に対して、現行の設計で用いている部品を類似品に置き換えるなどして対応しなければならないことがある。inCAD Exchangeは、3D CADデータの中から対象となる部品を選び、その類似品をメーカー横断で検索してくれるアドインで、金額や仕様を見やすい表形式で候補を出してくれる。そこから最適なものを選択すれば、元の3D CADデータに対して置き換えた部品の3D CADデータを自動で組み込む機能も有している。
なお、inCAD ComponentsとinCAD Exchangeについては、βテストの段階では「SOLIDWORKS」にのみ対応している。現在、「iCAD」への対応も進めており、順次対応する3D CADツールを拡大していくとしている。
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