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» 2017年06月07日 13時00分 公開

有機ELで4つ目の表示デバイス、テレビ生産が変わること変わらないことメイドインジャパンの現場力(10)(2/5 ページ)

[三島一孝,MONOist]

有機ELテレビの製造方法

 有機ELテレビの製造工程は、パネルデバイスの製造工程こそ大きく違えど、それ以外の部分は、液晶テレビやPDPテレビなど薄型テレビの基本的な製造方法と大きな違いはない。

 画像エンジンを含む映像処理や通信処理などを行う部品を基板に実装する実装ラインでまず実装基板を製造。その後、生産した基板と有機ELパネル、筐体などを組み立てていくという流れである。自発光デバイスはパネルの画素によって発光性能に違いがあるため、エージング工程が入るのが液晶テレビとの違いとなるが、これもPDPテレビやブラウン管テレビでは行ってきたことであり、過去のテレビの工程を引き継いでいるといえる。

 パナソニック アプライアンス社 テレビ事業部 モノづくり革新センター 所長の阪東弘三氏は「過去に3つのデバイスでのテレビ生産を培ってきたノウハウが有機ELテレビにもつながっている」とモノづくり革新センターが抱える経験の価値について述べている。

内製化率9割、実装ラインで際立つパナソニックの強さ

 基板実装ラインではパナソニックの内製化の価値を訴える。画像処理や通信、放送電波の処理などを行うため、半導体を含む部品をプリント基板に実装し、はんだ付けを行うのが基板実装ラインである。パナソニックの有機ELテレビでは画像処理エンジンとして有機ELパネル用に最適化した「ヘキサクロマドライブPLUS」を採用しているが、画像処理を行う半導体3つを基板に実装することで画像処理を行う仕組みとしている。

photo 有機ELテレビのメイン基板。中央の大きな半導体3つがメインの画像処理を担う。パナソニックでは、これらにアルゴリズムなどを組み合わせた画像処理エンジンを「ヘキサクロマドライブPLUS」として訴求している(クリックで拡大)

 基板実装工程は、まずトレーサビリティー確保のために基板にラベルを印刷する。その後、部品を載せる部分だけが空いたメタルマスクをかぶせて、クリームはんだを塗る。そして、はんだを塗った部分に部品を載せ、最後にリフロー炉ではんだを溶かしてから冷却し基板に接着する。基板の受け渡しなども自動化しており、最終的な検査工程以外は全自動のラインとなっているのが特徴である。

photo 内製化率約9割を誇る実装ライン(クリックで拡大)

 この基板実装工程において際立っているのがパナソニック製実装機の強さである。パナソニックは基板実装機市場において高いシェアを保有し、ラインアップも豊富にそろえている。そのため、同工場で使用されている実装ラインの約9割はパナソニックの内製となっている。「数多くの部品を実装する中で、不具合防止などのためにはさまざまな調整や治具の開発なども必要となる。ただ内製であるため品質向上などの取り組みについても優位性がある」(担当者)。

photophotophoto 実装工程で使用するメタルマスク(左)、実装工程での生産数や異常を知らせるアンドン(中央)、最終検査の様子(右)基板実装後は外観検査装置で検査を行うが基準値よりも厳し目の基準設定としており、許容範囲かどうかは人手でチェックをする工程となっている(クリックで拡大)

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