ヤマハ発動機は高速性と高精度化を実現するとともに、鏡面部品への対応機能を備えた外観検査装置を新たに発売する。
ヤマハ発動機は2017年6月1日、ハイブリッド光学式外観検査装置の超高速仕様「YSi-V 12M TypeHS」の後継機となる「YSi-V 12M TypeHS2」を同年8月1日に発売する。新製品では、高速化と高精度化を実現するとともに鏡面部品の検査能力を高めた。年間200台の販売を目指す。
電子部品実装は、小型化、高密度化、高機能化、多様化の流れが加速している。さらに2016年頃からはパッケージ表面に鏡面光沢のある薄型・極小サイズのWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)やFOWLP(Fan Out Wafer Level Package)の採用が飛躍的に増加しており、検査の高速化に向けて高密度で極小の実装部品や鏡面部品の対応要求が高まっている。
新製品は、画像処理ハードウェアと画像検査アルゴリズムの高速化を図り、3次元検査タクトを従来機比20%以上高速化したことが特徴だ。特に部品搭載点数が多い高密度基板においては従来機比約40%の高速化を実現している。
ヤマハ発動機 IM事業部 マウンター第1営業部 SPグループ クリエイティブエキスパート 鳥井直哉氏は「極小部品や鏡面部品など複雑な構造の部品を実装するケースが増える一方で、トレーサビリティー強化などの観点からインラインでの全数検査が必須となりつつあり、検査工程の高速化を求めるニーズは高まっている」と市場動向について語る。
さらに、高精細モードを新たに追加し、繊細な3次元画像の取得を可能とした。分解能7μmの高精細タイプについては、専用3次元撮像用プロジェクタの光学系を一新して0201(0.25×0.125mm)サイズなどの極小部品に対する形状再現性を大幅に向上した。
鳥井氏は「0201部品を正確に3次元検査するためには、1000万画素クラスのカメラと7μmクラスの分解能が必要になる。新製品は分解能が12μmの高速モデルと7μmの高精細モデルの2ラインを用意しており、用途に合わせて選べるようにした」と述べる。
さらに、撮像パラメータの最適化と新開発のアルゴリズムの採用により、市場のニーズが増えている薄型、高集積のWLCSPやFOWLP部品など鏡面部品に対応可能な検査能力を実現した。
画像を使った検査の場合、鏡面部品は光学的な虚像が発生するために、どのような技術を使っても検査精度に問題が生じる場合が多い。新製品は光学系に、5つカメラと干渉縞などを発生させる4台のプロジェクターを搭載しているが、この複数台のカメラの映像により鏡面部品に写り込んでいる虚像部分を認識し、この部分をフィルタリングで除いて検査を行えるようにしたため、正確な検査が行えるという。
鳥井氏は「鏡面部品の3次元検査は、高さ方向でミスが出る場合が多かったが、新たなアルゴリズムの採用で、正確に対応できるようになった。最近ではWLCSPやFOWLPなど鏡面構造の部品を実装する場面も増えており、こうしたニーズに対応していく」と述べている。
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