続いてヘプルマン氏は、Bosch Rexrothのインダストリー4.0対応油圧制御機器「CytroPac」の事例を基に、フィジカルとデジタルを融合させたスマートコネクテッド製品の取り組みについてデモンストレーションを交えながら説明した。
この説明では、PTCのIoTプラットフォーム「ThingWorx」が重視している、役割ベース(Roll-Based)のコンセプトを基に、CytroPacの開発から市場投入、サービスサポートに至るまでに関わる部署が登場する。
まず要件設計の部署では、Sumilinkモデルを使ったモデルベースのデジタルツインからCytroPacの性能要件を分析する。その結果、30%のエネルギー効率の向上が必要としつつも、コスト面からパッケージのサイズ変更もできないとなった。
この厳しい要件を受けた設計の部署では、3つの熱源を冷やす冷却プレートを3Dプリンタを用いた格子構造に変更することで、エネルギー効率を43%向上しながら、66%もの軽量化も可能になる案を導き出した。なお、格子構造に設計を変更する際に用いたのが3D CADツール「Creo」の機能「Creo Lattice」である。
次に登場した部署はデジタルチームだ。デジタルチームでは、設計開発データを営業活動に生かせるような役割ベースのアプリケーションをThingWorxで開発したり、Creoで作成した3D CADデータを使って、言語に頼らないARを活用したサービスマニュアルを作成したりしている。なお、ARを活用したサービスマニュアルの作成では、Creoのイラストレーションツール「Creo Illustration」のデータを、ThingWorxのAR作成機能「ThingWorx Studio」に直接入れ込んでいる。
また、CytroPacの3Dデータは、マイクロソフトのスマートグラス「HoloLens」を使ってARとして見ることができる。HoloLensを装着したヘプルマン氏は、実物のCytroPacの隣にARのCytroPacがあるのを来場者に見せて「これがあれば、物理的なショールームが不要になる」と述べた。
そして、製品を購入した顧客も、スマートコネクテッド製品であるCytroPacから得られる情報を活用したいと考える。ThingWorxでは、さまざまな設備や装置から出力される情報を取得するためのインタフェースとなる「Kepware」を利用できる。デモでは、CytroPacを使って動作する装置や、連動して動くABBのロボットの状態を見える化できることを示した。
このデモでは、ThingWorxのAR機能の進化バージョンも披露した。先述したHoloLensによるARのCytroPacは、「ThingMark」というマークの上に表示される仕様になっている。進化バージョンは、カメラで撮影した映像と3D CADデータから抽出したイラストを比較して形状を認識することによってARを表示する。ThingMarkは必要ない。「CADトラッキング」(ヘプルマン氏)と呼ぶ機能で、現在開発中である。
Bosch RexrothによるCytroPacの事例を紹介した後、ヘプルマン氏は再度「IoTこそが次世代のPLMだ」と強調した。「CAD/PLMを展開するPTCがIoTに注力する中で『正しい方向に進んでいるのか』と問われることもあったがそんなことはない。当社のこの構想は、10年後には現実のものとなっているだろう」(同氏)としている。
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